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時計メーカーが本気で作る、驚異のスマートウオッチ

話題騒然、光で発電するスマートウオッチ「エコ・ドライブ Bluetooth」を解剖!

2017年03月10日 11時00分更新

文● 中山 智 編集●飯島恵里子/ASCII

提供: シチズン時計

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エコ・ドライブ Bluetooth、ケースとバンドにスーパーチタニウムを採用したモデル「BZ1034-52E」は価格10万8000円。スーパーチタニウムケースにカーフレザー製のバンドを合わせたモデル「BZ1035-09E」は価格9万1800円

「時計メーカー」としての誇りをこめて設計されたスマートウオッチ

事業企画部に所属する髙田顕斉氏。

企画営業部に所属する企画を担当した北川正人氏。

 シチズン時計の「エコ・ドライブ Bluetooth」は、スマホとの連携機能をもつスマートウオッチ。PCやスマホメーカーなどIT系の製品が多い印象のスマートウオッチ市場だが、エコ・ドライブ Bluetoothにはシチズンの「時計メーカー」としての誇りが、詰め込まれた製品となっている。そんな誇るべきこだわりの部分を、技術企画担当の髙田顕斉氏と商品企画担当の北川正人氏に伺った。

 エコ・ドライブ Bluetoothの特徴は、やはり「エコ・ドライブ」による光発電機能。エコ・ドライブ Bluetoothは光発電だけの給電で動作し、外部電源からの充電や電池交換は不要。一般的なスマートウオッチは、充電や電池交換が必要でユーザーの不満点もここがポイントとなるが、髙田氏は「時計としてしっかりした仕立てで、時計メーカーのつくるスマートウオッチを開発したかった」と語る。

 実際エコ・ドライブ Bluetoothは、フル充電の状態でパワーセーブ機能(節電状態)が動作している場合では、約4年も動作する。スマホと連携させた状態で、パワーセーブ機能が1日約7.5時間動作するケースでも、約9ヵ月光発電による給電がなくても動作可能だ。

エコ・ドライブ Bluetoothのオリジナルアプリには、受光/発電状況を視覚で楽しむことができる「ライトレベル インディケーター」という機能がある。

室内の照明でも十分な発電が可能な「エコ・ドライブ」

 この長期間充電不要な性能のキーとなっているのが、シチズンが40年の歳月かけて培ってきた光発電機能の「エコ・ドライブ」。文字板の下に配置したソーラーセルで光を集め、そのエネルギーをもとに発電し、発電した電力は2次電池へと蓄電される。

 光発電というと、さんさんと輝く太陽光の下でないと発電力が少ないイメージ。だがエコ・ドライブでは、「もちろん太陽光の下がいちばん発電しますが、屋内灯などでも十分発電可能」(髙田氏)とのこと。

左が文字板の下に配置されている光発電用のセル。中央がムーブメントにセルが乗った状態。右の基板は四層構造で、Bluetoothチップが搭載されている。

 一般住宅の屋内照明は大体500ルクスが目安だが、この明るさなら通常に動く状態を1日保つのに約8時間。屋外なら晴天時で12分、曇天時でも約30分で1日ぶんが充電可能だ。北川氏は「時計を着用していれば、日常生活での受光で充電されるため、ほとんど充電を気にする必要はない」と解説する。

基盤の裏側の様子。シチズンで開発したメインのチップセットが搭載されている。

光発電で作られた電気は、二次バッテリー(ボタン型リチウム電池)へと充電される。

 エコ・ドライブが登場した当初は、ソーラーセルが目立つデザインだったが、現在では発電や蓄電の効率化や省電力化によって、凝視しなければわからないレベル。サブダイヤルや針を複数配置したり、夜光など文字板への加工も問題なくできるようになっている。「今では自社ブランドのクオーツモデルは、エコ・ドライブ以外開発してない」と髙田氏は言い切るほど、シチズンが自信を持っている技術だ。

エコ・ドライブの仕組みを紹介する動画

各種省電力技術と機能の取捨選択で、毎日の充電から開放

 とはいえスマートウオッチは小さな筐体のわりに電力消費が大きく、どのメーカーも省電力化は頭を悩ましている部分だ。エコ・ドライブ Bluetoothが電力消費についてどのように対策をしているのかについて、髙田氏によると「必要な機能の取捨選択」をしているとのこと。

 エコ・ドライブ Bluetoothはスマートウオッチと言っても、スマホからの通知を表示するのがメインの連携機能。液晶ディスプレーは搭載していないので、テキストを表示したり文字を入力するといった機能は装備していない。

 髙田氏は「フルディスプレーでAndroid WearなどのOSを採用した、スマートウオッチの開発に興味がないわけではない」としたうえで、「悩ましいところですが、毎日充電するような使い方では、やはり時計とは言えない。まず時計としてしっかりと機能したうえで、搭載できる機能を選んだ」と髙田氏は説明する。

 仮にAndroid Wear対応を選択した場合、液晶タッチディスプレー搭載やアダプターを使用した充電方式が必須などの制約がある。そのためシチズンは、Android Wearと追従するのではなく、独自技術のエコ・ドライブをスマートウオッチに搭載する道を選んだ。

 さらに大きなポイントとなるのが、「Bluetooth LEの登場」。髙田氏によると「Bluetooth LEによってスマホとの通信でかなり省電力化がはかれるようになった」とのこと。

 基本的には、ペアリングしたスマホとエコ・ドライブ Bluetoothは2秒ごとに通信し、接続から6時間が経過すると自動で切断となる設定になっている(エコ・ドライブ Bluetoothのボタンを操作すれば再接続は可能)。また、暗所などで発電できない状態が続くとパワーセーブ機能が動作し、秒針がストップ。消費電力を抑えつつ、効率良くスマホと連携しているわけだ。

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