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カタログ通販に業態改革の波、スクロールが直販アパレルECを終了

2017年02月03日 03時35分更新

記事提供:通販通信

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image カタログ通販に業態変革の波が押し寄せている。(株)ニッセンホールディングスは昨年11月にセブン&アイグループの完全子会社となり、事業再生に取り組んでいる。スマートフォンの所有率が上がり、スマホからECサイトで簡単に商品が購入できる現在、数百ページのカタログをめくって商品を探す行為は、時代に合わなくなってきている。また、カタログ通販は、制作コストがかさむほか、カタログ制作にも時間がかかる。こうした要因から、カタログ通販企業の業績は悪化してきている。

 こうした状況のなか、カタログ通販企業の(株)スクロールは2日、総合ショッピングサイト「スクロールショップ」と「ブリアージュサイト」を28日に終了すると発表。旧ムトウ時代から続いていたアパレルの直販ECが、終了することになった。今後、アパレル通販は、カタログ通販と生協会員への販売に限定される。「ブリアージュ」ブランドは、生協でのEC・カタログ販売に注力する。ただ、完全撤退するわけではなく、今後は何らかの形で販売を再開する可能性もある。

 同社は昨年10月に17年3月期の業績予測を下方修正し、売上高を60億円・営業利益を13億円減額。その要因には、春・夏商材が不振だった通販アパレル事業が挙げられていた。同社によれば、この段階でサイト終了は想定に入っていたという。直近の決算(4~12月)では、通販アパレル事業は売上高が前年同期比18.1%減の157億8500万円、セグメント利用が同73%減の3700万円と、大幅な減益となった。

 アパレルを中心にしたカタログ通販のイメージが強い同社だが、直近の決算で利益が大きい事業は、通販H&B(ヘルスアンドビューティー)事業(5億4200万円)、通販インナー事業(4億2500万円)、物流代行などのソリューション事業(3億5700万円)となっている。増益となったのは、通販インナー事業(同90.6%増)とソリューション事業(同12.9%増)だった。通販アパレル事業は売上高が大きいものの、利益が薄く、経営の足かせとなっていた。

 このような環境から、集中・選択の視点で、化粧品や健康食品などの通販H&B事業、ソリューション事業、BtoBtoC事業(生協などの組織・団体を通じた通販)に注力する。同社は「今回の公式サイトの終了は業態改革の一環です。弊社がグループとして目指してきたのは総合通販ではなく複合通販。必要な事業を伸ばし、変革を進めていきたい」と話した。

(山本剛資)

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