驚きの品薄状態が続く「Xbox One S」の目玉である4K UHD BDを解説!
2016年12月12日 12時00分更新
3つのキーテクノロジが重要! UHD BDの基本技術
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UHD BDとは「Ultra HD Blu-Ray Disc」の略で、ひらたく言えばBDソフトの4K版だ。
国内では次世代の高解像度映像のことをそのものズバリ“4K”(3840×2160または4096×2160)ということが多いが、海外ではUltra HDと呼ぶことが定着している。
国内においても4Kどころか8K(7680×4320)の試験放送も行なわれるなど、すでに次の規格がスタンバイしているので、高解像度映像全体を指す場合は4Kと個別に言わずUltra HDと総称するのは正しいだろう。
UHD BDは、映像を4Kの高解像度で収録するメディア。フルHDの4倍もの情報量となるので、記録するディスクは3層(100GB)または4層のBD(128GB)が使われる。
2Kの映像タイトルでは2層(50GB)までが一般的なので、容量的には2倍程度しか増えていないが、そのぶん、映像圧縮技術として新たにHEVC(H.265)を採用。AVC(H.264)の約2倍の圧縮効率を実現している。
また、転送速度はBDの36Mbpsに対して、UHD BDは約100Mbpsを実現しており、4Kコンテンツの情報量の拡大に対応している。
UHD BDでは、単純に映像を高精細化しただけではない。解像度というのは、遠くから離れて見るなど、人間の肉眼の解像度よりも細かくなってしまうと識別が困難になる。4K解像度の最適視聴距離は約1.5H(Hは画面の高さ。HD解像度では約3H)となっており、一般的な40V型では1mほどの短い距離だ。
一般的なリビングでの視聴距離が2~3mとすると、その距離では高解像度の良さが判別しにくいということになる。
輝度表現のキーテクノロジー「HDR」
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「HDR」のアリとナシ。アリのほうが黒の締まりがいい
筆者の個人的な印象だが、登場初期の4Kテレビがあまり人気にならなかったのは、解像度だけでは現行のフルHDテレビとの明らかな差が感じにくかったのだと思う。
というわけで、UHD BDでは解像度を高めただけでなく、新たに「HDR」という技術を採用し、映像の高輝度化を実現した。
HDRとは「High Dynamic Range」の略。数値で言うと、従来のテレビが最大100nits(輝度の単位)まで表現できたのに対し、HDRでは最大10000nitsもの輝度を表現できる。
その差はおよそ100倍だ。実際のところ、現在発売されているUHD BDは1000~4000nitsくらいの輝度で制作されているのだが、それでも10~40倍もの高輝度が表現できているというわけだ。
このHDRによる高輝度表示が映像表現としてはかなり威力のあるものになっている。HDRが10000nitsもの輝度が表現できるように規格化されているように、現実では10000nitsを超える明るい光が存在する。
しかし、今までのテレビでは100nitsが上限なので、それよりも明るい光はすべて同じ白い色になっていたわけだ。
実際の映像で言うと、白一色のドレスがライトを浴びると均一に白く輝くように見えてしまうが、HDRならば生地の白と輝いた部分の白の違いまではっきりと再現され、より質感豊かな映像となる。
プラスチックと金属、あるいはガラスの光沢感の違いなど、肉眼では違いがわかるのに、テレビで見ると違いがわかりにくくなってしまうような輝きが再現できるというわけだ。
もちろん、暗部の再現性なども改善され、暗いシーンというと本当に黒く沈んで見づらくするしかなかったが、かすかに見える暗さをきちんと表現できる。
圧巻なのはネオンが輝く繁華街や夜景を撮った映像で、昼間と違う夜の暗さの中でネオンがまぶしく輝いているのがわかる。この見え方の感じは、まさに肉眼で見たときと一緒。ネオンの発光も中心部の光と色を帯びた部分がよく再現され、非常にリアルだ。
色表現を拡大する「BT.2020」
しかし、HDRだけでは不十分だ。映像は、輝度と色の情報によって構成されている。HDRで高輝度化を実現したならば、色も表現力を拡大しないとバランスが崩れてしまう。
そこで規定されたのが新たな色域規格となる「BT.2020」。再現できる色の領域を大幅に拡大したもので、広色域表示とも言われる。
BT.2020では世界に存在する色のほとんど再現できるほどと言われており、原色の鮮やかな再現はもちろん、中間色もより豊かな再現ができる。HDRで白一色に見えた雲が薄い青を帯びた階調を持っていることが再現できるのも、BT.2020の広色域もあってのことだ。
このように、UHD BDでは単純に高解像度化しただけでなく、輝度と色の表現力も大幅に拡大している。だから、今まではとはまるで違う映像に感じられるというわけだ。
ちなみに、音声フォーマットに関しては、基本的にはBDと同じ。「Dolby Atmos」や「DTS:X」による5.1.2chや7.1.4chといったサラウンド再生が可能。
とはいえ、実際のソフトを見てみると、BD版ではドルビーTrue HDだった音声が、UHD BD版ではDolby Atmosで収録されているなど、差別化が図られている例が増えてきている。
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