現在もっとも改善すべき日本の労働環境、AIを用いて社員のストレス予測
日立、AIを用いた人事総合ソリューション「LYSITHEA(リシテア)」
2016年12月01日 16時22分更新
日立ソリューションズは12月1日、AIを用いた人事総合ソリューション「LYSITHEA(リシテア)」を発表した。
同社はこれまでにもLYSITHEAという名称で企業の人事総合アプリケーションを提供しており、プロジェクト管理や就業管理といった機能に加え、社員の健康管理など機能を追加しつつ従業員管理システムとして各種大手企業に導入されている。今回、ブランドロゴなどをはじめとしたイメージ刷新とともに、新たにAI技術を用いた診断サービス機能を組み込む。
とくに重要視しているのが社員のワークライフバランスで、同社では社員の働き方の改善こそが生産効率の改善につながるとしている。現在の日本では長時間残業など社員の過度なストレスが社会的な問題となっているが、社員の健康管理や人材確保に重要となるほか、ストレスによる長期休職は企業にとっても大きな負担となることから、いちはやく発見して改善することは重要に重要となる。
社員がどの程度のストレスに晒されているかを単なる労働時間や作業量といった数字だけで推測するのは難しいが、新LYSITHEAではこれまでの人事管理をノウハウとともに、過去のデータの蓄積から機械学習でモデルを作成、社員ひとりひとりのストレス度合いを推測するという診断サービスを開発した。
労働時間や残業時間といった数字に加え、業務内容や有給消化率、年齢や性別、単身赴任の有無や配偶者など、120項目におよぶデータを機械学習させてストレス度合いを判定。同社などで実証実験を行なったところ、全休職者の53%を予測することに成功したという(53%というと少ないように思えるが、全体では仕事のストレス以外の休職理由もあることを考えればかなりの精度と言えよう)。
社員ひとりひとりのストレス把握に加えて組織レベルでの診断にも対応できることから会社組織のパフォーマンス向上にもつなげることができ、会社全体での生産効率の改善を図ることができる。日立ソリューションズでは、2017年2月には「組織ストレスの予測サービス」を、5月には「組織パフォーマンスの診断サービス」として販売を開始し、将来的には能力開発支援、人材最適化といった提案を行なう技術も導入してゆくという。