そもそもAR、VRってどんなもの?
AR、VRと話題がネット上を賑わせ、さらに盛り上がりつつあるという状況だ。しかしその一方、AR、VRは似ているようでいて違う概念であるため、ぼんやりとしか把握できていない方もいるはず。そこで今回は、“自称”AR/VRエバンジェリストのASCII編集部編集者・八岡に話を聞きつつ、AR、VRがどのようなものなのか、改めてまとめてみたのだ。
現実を“拡張”する「AR」 -「電脳コイル」
八岡によれば、「ARは、Augmented Realityの略で、日本語では「拡張現実」といいます」とのこと。その名の通り、「現実を拡張する」というのがポイントだという。目で直接見る現実の世界にARを適用すると、その現実空間に本来は存在しない事柄を表示する、というものだ。日本では2009年に登場したスマートフォンアプリ「セカイカメラ」がその端緒といってもいいかもしれない。ASCII.jpの読者なら、2007年に放映されたアニメ「電脳コイル」に登場した“電脳メガネ”というと、イメージしやすいはずだ。現在は、エプソンの「MOVERIO」(モベリオ)シリーズがその代表格といえる製品だろう。
例えば、自然の山並みを見ていて、そこに見える山の名前を知りたいとき、ARでは山の上に名前が吹き出しで表示される。メガネを通して見える風景は現実なのに、そこに現実には存在しない映像やアイコンなど、さまざまな情報が付加される。現実にはないものがあたかも追加されたように拡張されるのがARだ。
人気ゲームの「ポケモンGO」も、ポケモンが登場したときにARモードをオンにすると、スマートフォンのカメラで現実の風景を表示しつつ、そこにCGのポケモンが表示され、現実の世界にポケモンが現れたかのように現実を拡張する。
また、「ARのベースにあるのは現実世界です」と説明してくれた。MOVERIOのようにメガネ型でもスマートフォンのカメラでも、その背景は現実世界がそのまま表示されている。特にMOVERIOの場合、装着していてもシースルーのレンズを通して、そのまま現実が見えている。体の向きを変えても、上や下を見ても、当然ながら現実の風景がそのまま見えている。
仮想の映像空間に入り込む「VR」 - 「ソードアート・オンライン」
一方、VRはVirtual Realityの略で、こちらは「仮想現実」と呼ばれる。ARとは異なり、現実とは異なる仮想空間内に人が入り込んで活動するイメージだ。現実からは隔離されているのが特徴で、アニメ「ソードアート・オンライン」のような描写が挙げられるだろう。ソニー・インタラクティブエンタテインメント「PlayStation VR」(PS VR)やHTC「HTC Vive」、サムスン電子「Gear VR」、Oculus「Oculus Rift」などといった製品が登場しており、特にゲームのようなコンテンツに向いている。
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「ARの現実に対して、VRのベースは映像です」(八岡)という。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着すると、現実の景色はまったく見えず、CGなどで作られた映像が全体に表示される。上下左右全体を映像がカバーしていて、現実のように周囲を見渡すこともできるが、あくまで用意された映像を表示している。