Nokiaがライセンスを出す先は元Nokiaが多い会社
だが、今のNokiaブランドにそもそも需要はあるのか?
準備は少しずつ進めてきた。2016年のHMD Globalとの提携の後、HMDは元Nokia幹部のPekka Rantala氏をCMOとして起用、モバイル部門を率いることになっている。なお、HMDはMicrosoftが元Nokiaのフィーチャーフォン事業を切り離した際にこれを引き受けるべく設立されたフィンランドベースの新会社だ。
つまりHMDは元Microsoftと元Nokiaの社員が中心で、CEOにも1990年代にNokiaに勤務していたベテランのArto Nummela氏が就いている。Nokiaから直接の出資は受けていないものの、HMDの取締役会にNokiaは席を持つ。Nokiaとの契約期間は10年間で、Nokiaは自社ブランドで製造する製品について、かなりコントロールできる形態となっているようだ。そしてNokiaはNokiaブランドの製品販売からのロイヤリティーを受け取るというビジネスモデルだ。
そのRantala氏はAdWeekの記事において、「Nokiaはアイコン的なブランドであり、その認知度は高く信頼されている」とし、独占的パートナーとしてNokiaブランドの携帯電話とタブレットを展開していくにあたって、Coca-Colaなどのブランド採用で知られるMotherというマーケティングエージェンシーと契約したことを明かしている。
問題はNokiaが今のコンシューマーにアピールできるかどうかだ。Nokia側は「毎日のようにNokiaファンからNokiaのスマートフォンを求める声が届く」としているのだが、NokiaブランドのAndroidスマートフォンというだけで、市場が受け入れるという保証はない。わずか数年とはいえ、スマートフォンではメディアへの露出がなかったのだ。
だが、数年前よりも市場に入りやすいと見ることもできそうだ。SamsungとAppleの2強時代が続いたのち、Samsungは「Galaxy Note 7」で問題が起き、iPhoneも不調と一つのフェーズの終わりを象徴しているように見える。新しいフェーズはHuaweiなどが盛り上げてくれそうだが、同じ中国メーカーではLeEcoなどのユニークなメーカーが出てきている。Nokiaのチャンスもゼロではない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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