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秋のヘッドフォン祭 2016 第2回

超ハイエンドだけど音もいい、マニア垂涎の駆動方式

ハイレゾの音場感を再現するならやっぱり平面駆動型

2016年10月28日 13時00分更新

文● ゴン川野 編集●ASCII

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2016年秋のヘッドフォン祭で人気上昇中!? ハイレゾの音場感再現に有利な平面駆動型に注目

 10月22日から23日の2日間にわたり、中野サンプラザで「秋のヘッドフォン祭2016」が開催された。今回、注目したのは歪みが少なく高解像度で音場感に優れた平面駆動型のヘッドフォンとイヤフォンである。その特徴からハイレゾ音源を聴くにもピッタリだ。

 量感だけでモコモコ、ボワボワの低音とはこれを機会にお別れしたいものだ。

Mrspeakersは流体力学を使って歪みを抑えた

 2015年に突如、出現した“平面駆動型の新星”がMrspeakersである。創業者でエンジニアのDan Clark氏はアップルコンピュータに在籍していたこともある。

 製品は平面磁界駆動型(Electro Planer Magnetics)の開放型ヘッドフォン「ETHER」と密閉型の「ETHER C」の2モデルのみ。ほかに静電型も開発中だ。特許技術“V-Planar”に基づく平面振動板を開発して採用している。一般的な平面振動板は両端を固定され振動するため中央部は振幅が大きく、エッジに近付くほど振幅は小さくなる。これが非線形歪みにつながるが、その発生を抑えるため振動板に細かいヒダを付け、均一にしかも深い振幅で動くようにしている。ハイレゾ再生に関しては再生周波数特性よりも歪みの少なさとタイムドメインに注目しているそうだ。

「ETHER C Flow」はワイドレンジで低域の解像度が改善された。カーボンハウジングで遮音性は高いが、大音量再生時にはカーボンの共振が気になった。

ETHER Flow。外周リングがレッドからラメ入りのブルーに変更された。「ETHER Flow」は主に中域の解像度が改善されたと思う。

 今回、発表されたの「Flow」はこのETHER/ETHER Cの技術を踏襲しつつ、流体力学に基づくTrue Flowテクノロジーを使ったウェーブガイドを採用した。「ETHER」は敷き詰めた棒状の磁石を使って、長方形の振動板を駆動していた。この磁石は3mmほどの厚さで、振動板と耳の間にある。磁石を固定したトレーには空気穴が開けられていて、振動板が動くと空気がここを出入りする。重要なのはこの空気の流れの制御だ。回折や反射が発生すると歪みの増加や解像度の低下を招くことが分かっていた。

 そこで「ETHER」では響きをコントロールするために2種類のフェルト状のパーツが複数枚入った、アップグレードキットが開発された。それをさらに発展させたのが「ETHER Flow」と「ETHER C Flow」である。今回はフェルトの替わりに3Dプリンタで出力したウエーブガイド(導風口)を穴それぞれに合わせて取り付け、穴から出入りするエアフローを改善する仕組みだ。

従来は磁気回路のトレイが見えていたのだが、「ETHER Flow」ではスポンジ状のパーツが接着されている。

 内部の改良だけなので、併売される従来モデルとデザイン上の差は少ないが、「ETHER Flowはハウジングのリングの色やイヤーパッドの形状/素材を変更している。また「ETHER C Flow」はカーボンの柄も変わっている。

左がオリジナルで右がウェーブガイドが取り付けられた「ETHER Flow」の写真。

磁石を固定するトレイに空けられた穴に空気が出入りすることで音に悪影響を与えていることを突き止めた。

研究の結果、流体力学に基づくTrue Flowテクノロジーを確立して、空気の流れを阻害しない穴の形状を作り出した。

磁石の両側に開けられた平面的な穴に3Dプリンタで出力したウェーブガイドを穴の前後に取り付け理想の穴の形を実現。

 「ETHER Flow」とオリジナル「ETHER」を比較試聴してみると、これまで透明感が高く繊細な音を再現していたと思っていた「ETHER」の中域にすら解像度の甘い部分があることに気付いた。「ETHER Flow」を聴くと、全域で音の鮮明さが向上していることを実感できる。Mrspeakersでは「ETHER」から「ETHER Flow」へのアップグレードサービスを実施しており、ウェーブガイドのみを追加するアップグレードと、外観を含めてETHER Flow/ETHER C Flow相当にするアップグレードの2種類がある。国内でも販売代理店のエミライを通じて後日告知がある見込みだ。

 「ETHER Flow」「ETHER C Flow」共に11月下旬発売予定で予想実売価格は約24万8000円。

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