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JAWS-UG九州勉強会レポート 第4回

災害にクラウドとコミュニティはどう役に立つのか?勉強会で明らかに

熊本地震で漏水・給水情報を伝えたmizuderu.info開発の舞台裏

2016年10月19日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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仕組み作りが得意なエンジニアが災害で貢献できること

 開発メンバーのコメントが終わった後は、登壇者に新垣圭祐さんが加わったメンバー全員が参加し、アスキーの大谷による公開取材が行なわれた。

mizuderu.infoの参加者と大谷によるセッション

 まず苦労した点を聞くと、「(平常時と違って)なにしろ焦る。ハンズオンではまるようなポイントに確実にはまる(笑)」(山ノ内さん)、「Facebookに放り込まれたけど、誰も知っている人がいなかった」(菊池さん)、「慣れてないPHPのマージ作業」(村上さん)、「勢いで作っているので、どういった機能を実装すればよいか決めるのが大変」(新垣さん)などのコメントが返ってきた。一方で、星野さんによればデータベースの移行はシンプルだったので苦労はなかったという。

 特に苦労したのは、やはりコミュニケーション。内部ではFacebookでやりとりしていていたが、コミュニティ連携ではSlackを採用。一時期は両者の内容をコピペする作業が発生していた。また、タスク管理も当初はFacebookで行なっていたが、タイムラインで流れてしまうため、Googleスプレッドシート、Backlogを経て、最後はGitHub Issueになったという。「Facebookのメッセージは過去をたどるのが大変で、検索も難しかったので、半日間くらいいろいろ使って、最終的にGitHub Issueに落ち着いた」と山ノ内さんは振り返る。

 こうしたmizuderu.infoでの経験値としては、「意思決定があれば、顔を合わせないでも開発できた」「普段やっていないプルリク開発が体験できた」(村上さん)「悩んでいるよりは、とにかく作って公開することがなにより大事だと感じられた」(星野さん)などがあったという。

漏水・給水箇所をプロットするmizuderu.infoのPC版

 最後、災害に対してエンジニアはどのように貢献できるか? また、どんな課題があるのか?を聞いたところ、「いくら情報があっても、それがうまく提供できなければ意味がない。自分たちなら、わかりやすく情報を提供できるのではないか」(菊川さん)、「東日本大震災の例ではないけど、有事の際にはいつでも使えるようメンテナンスしておくことが重要」(星野さん)、「役所の人と話したが、情報の精度を担保する仕組みが必要だと感じた」(村上さん)、「普段から会社以外のつながりがあると、今回のようにすぐ動ける」などのコメントが返ってきた。

 ボランティアスタッフとしても働いた山ノ内さんは、「荷物を運ぶよりも、荷物を運ぶための仕組みを作った方が、はるかにたくさんの人を救えると思った。仕組みを作るのはエンジニアの得意技なので、そちらに注力することで、災害時も役に立てると思う」とまとめた。

 なお、10月22日に行なわれるJAWS FESTA 東海道 2016では、「熊本地震で作成した水がでるでないを登録するWebサービス「mizuderu」の被災地での開発ヒストリー」と題したパネルも行なわれるので、興味ある人はぜひ参加してもらいたい。

10月22日(土)、「JAWS Festa 東海道 2016」が開催!

 

10月22日、AWSのユーザーグループであるJAWS-UGが主催する大型コミュニティイベントであるJAWS Festaが今年は名古屋工業大学で開催される。今年のテーマは「クラウド・IoTの最前線、みんなで学べば怖くない!〜一緒に熱くなれる仲間を見つけよう〜」ということで、学ぶだけのセミナー形式勉強会にならない多彩な企画が用意されているという。

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