徹底的に音質を追求したパーツの数々
NW-WM1Zは無酸素銅削りだしシャーシ採用!
続いては、シャーシ設計やこだわりの高音質パーツについて紹介していこう。カラー以外は外観や主要な機能がほとんど同じと言っていいNW-WM1ZとNW-WM1Aだが、価格はおよそ3倍ほども違う。そのあたりの理由は投入されたパーツの違いが大きいというわけだ。
最大の違いは、ボディーを兼ねる金属シャーシの材質。NW-WM1Zは無酸素銅削りだし、金メッキをしたもの、NW-WM1Aはアルミ材の削りだしだ。
無酸素銅のブロックからの削りだしはアルミの約1.5倍もの加工時間がかかり、素材のコストだけでなく加工のコストもかかる。
ボディーに銅素材を採用したモデルは他社にも例があるが、シャーシの低インピーダンス化など、音質の良さを確認して採用したという。
銅素材が音質面で有利ということはオーディオに詳しい人ならばよく知っていると思う。ケーブルの線材で純度の高い銅を使うことは多いし、オーディオ回路の基板などを見ても要所に銅素材が使われている。だが、シャーシそのものを銅ブロックから削りだしというのは、かなり大胆だ。
さすがは銅、ずっしりと重い……
このシャーシの素材の違いがすべてとは思えないが、実はNW-WM1Zは持ってみるとずっしりと重い(約455g バッテリー含む)。ちなみにNW-WM1Aは約267g。
正直なところ、NW-WM1Zは持ち歩いて使うには厳しいと感じるほど重い。少なくとも上着のポケットに入れて軽快に持ち歩くようなことはできないだろう。
カバンなどに入れて使うのが(価格などを考えても)常識的な使い方になると思う。まあ、重たいオーディオ機器の方が、いかにも音質が良さそうで所有する満足度が高いとも言えるのだが……。このあたりは実際にその重さを体感してから判断するといいだろう。
それぞれの削りだしシャーシには、インピーダンス化のための無酸素銅+金メッキのプレートを挟み、メイン基板、バッテリー、強度の確保と低インピーダンス化を徹底する個ルソン系銅合金をリアパネルに備える。こうした基本的な構造は共通のもの。
内蔵するバッテリーは基本的に共通のものだが、NW-WM1Z/WM1Aのために専用に開発。電源の出力を+/-で各2本とすることで低インピーダンス化を図っている。バッテリーからの配線は従来モデルでも重視されてきたが、さらに徹底したものとなっている。
オーディオ回路は基本的に共通で、基板上のレイアウトを最適化し、オーディオ部とデジタル部を基板の上下で分離。不要なノイズの干渉を抑え、低S/N化を追求している。
クロックは、低位相ノイズ水晶発振器を44.1kHz系と48kHz系の2個を採用。これまでのノウハウを盛り込みながらさらに徹底した高音質化を追求したものとなっている。
アンプ回路の電源部の強化のため、開発に3年を費やしたという新開発の高分子コンデンサーを、L/R正負独立出力のため4個使用。
瞬間的な大電力の供給を可能にする「電気二重層キャパシタ」を搭載し、容量はNW-ZX2の約1.4倍の500mFとなっている。
ちなみに、ヘッドフォン出力値は、アンバランス接続時は従来比4倍の60mW+60mW(16Ω)に強化されており、バランス接続時は250mW+250mW(16Ω)の実用最大出力を実現している。
この大出力はポータブルヘッドフォンアンプに匹敵し、高音質化はもちろんだが、インピーダンスの高いヘッドフォンなど鳴らしにくいモデルに対するドライブ能力も高めているのだ。
NW-WM1ZとNW-WM1Aで使用するパーツが異なっているものを紹介しよう。ヘッドフォン出力のフィルターは、NW-WM1Zが大型の高音質抵抗、NW-WM1Aが高品質なメルフ抵抗を採用。
そして、ヘッドフォン出力端子とアンプ基板を接続する内部配線は、NW-WM1Zが同社の交換用ケーブルでも採用したKIMBAR KABLEと協同開発した4芯編み構造のケーブルを採用。NW-WM1Aが無酸素銅ケーブルとなっている。
価格の高いNW-WM1Zの方が、コストのかかるパーツが投入されていることは当然だが、NW-WM1Aもほぼ変わらないレベルの作り込みがされている。これで、音質的にどれほどの差が出るかが興味深いところだ。
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