7月21日、東京の茅場町の近くにあるコワーキングスペース「Co-Edo」において、3階増床記念のクロスコミュニティイベントが行なわれた。CMS、セキュリティ、プログラミング、クラウドなどさまざまな分野のコミュニティのメンバーが登壇し、活動内容とCo-Edo愛を披露した。
定例勉強会に愛されるCo-Edo初のクロスコミュニティイベント
今回のイベントのきっかけは、Co-Edoをベースに活動しているJAWS-UG CLI専門支部での取材だ。Co-Edo田中弘治さん、JAWS CLIの波田野さん、アスキーのオオタニなどが3階の増床を盛り上げるために企画。普段Co-Edoで活動しているコミュニティに集まってもらい、活動内容に関するLTやコミュニティ活動の楽しみや苦労話を共有するというのが趣旨だ。
集まったのはさまざまなITコミュニティに属している30人。隣に座っているのは見ず知らずの人同士なので、司会を務めるアスキー大谷が半ば強引に「なぜCo-Edoにたどり着いたのか?」について隣の人と話しあってもらい、場を温める。
冒頭挨拶に立ったCo-Edoオーナーの田中弘治さんは、コワーキングスペースのオーナー同士での座談会が掲載された「週刊ビルオーナー」の取材風景を紹介。自身のCo-Edoについて「イベントや勉強会の開催が多い。特に有志の勉強会が定期的に行なわれているという特徴があると思う」と語る。
しかし、現在の4階・5階だけではどうしてもキャパシティに限界があったため、今回の3階の増床に踏み切った。「キャンセル待ちが出る勉強会でも、きちんと収容できる会場を用意したいと考えた。大きな勉強会があれば3階でやってもらい、小さい勉強会なら4階・5階で同時併催するみたいな使い方ができる」と田中さんは語る。
田中さんがスタッフと数えたところ、定期利用している勉強会はすでに20以上に登るという。「そんなことになっていたにも関わらず、コミュニティ横断的なイベントを今までやってこなかった。大谷さんや波田野さんとFBで話していて、初めて気づかされた」と田中さんは話す。「Co-Edoなんで、ゆるく楽しんでいただきたい」と述べて、挨拶を締めた。
Co-Edoを愛するコミュニティたちがLTを披露!
イベントの前半はCo-Edoに参加するコミュニティのLT大会。各コミュニティが活動状況とCo-Edoへのリスペクトを熱く語った。
Movable Typeのファンを増やしたい「MT東京」
MovableTypeのファンを増やすという目的のため首都圏で勉強会を開催している「MT東京」の山田寛さん。「昔はMovable Typeも元気だったが、最近はWordナントカとか、静岡の方のCMSに人気が行ったり、OSSいいよねという話があって、だんだん元気がなくなってきた」(山田さん)とのことで、まずは認知度向上にチャレンジ。とはいえ、MovableTypeの技術話では人が集まらないので、SEOやプレゼン、Webデザイン、広報、法律などWeb全般に関わる勉強会を開催し、間口を拡げたという。
2014年から活動を開始し、参加人数は2000名弱。「平均で70~80名が参加してくれる。学生さんや未成年の方が参加すると、成功したと思う。女性も一人で参加してくれた」と山田さんは語る。月に1回「MT Live!」というイベントをCo-Edoで開催しており、「イベントは集客人数ではなく精度。20~30人でも盛り上がったほうが、後につながる」と語り、聴衆にも参加を求めた。
A.C時代に感謝!継続的なセキュリティをアピールするVAddy Meetup
VAddy Meetupを主催するビットフォレストの市川快さんは、Webサイトの脆弱性を発見する「VAddy」のイベントを手がける。VAddyはSaaS型の脆弱性診断サービスで、インストールも不要。フリーミアムで継続的に利用できるという。脆弱性を見つけると脆弱性の種類や問題のパラメーター名が表示され、安全なWebサイトの運用に寄与する。
VAddy Meetupは継続的なセキュリティテストについて認知度を高め、セキュリティに携わるエンジニアが気楽に意見交換できる場を作るために開催しているという。VAddyの使い方はもちろん、セキュリティに対する取り組み方、開発やセキュリティ関連の発表をやって、後半の懇親会に突入するのが通例だという。
「Before Co-Edo時代」は新宿でやっていたが、正直高かった。機材のセットアップやピザの配達などもすべて自前でやらなければならなかった。しかし、「After Co-Edo時代」は、Co-Edo側が面倒なことを全部やってくれるという。「僕たちはふらっと来て、発表して、呑めばいい。会費もElasticな感じで安いし、田中さんが呑んでたり、場を温めてくれる。A.C時代に生きていることに感謝」と市川さんは絶賛する。
こばけんさんが語る「もくもく会」のススメ
「もくもく会のススメ」というテーマで、エンジニアイベントへの向き合い方を語った小林慧一さん。小林さんは「いろんな技術の選択肢があるので、同じものを触っている人につながるのは本当に大変。だから独学よりも、勉強会に参加してそういう人とつながるのが首都圏のエンジニアの道なのかなと思う」と語る。
一口にイベントと言っても講義を聴くセミナー、指導に従って作業するハンズオン、テーマ内の時間でモノを作るハッカソンなどさまざまだ。この中でもくもく会は、集まった人がただ作業をするだけというもの。「ハッカソンはあくまでテーマが決まっているけど、もくもく会は主催者がテーマを決めているので、イベントの中ではもっとも主体的。主体的になにかをやりたい人が集まる」と語る。
勉強会に参加しても、「情報は得るが、触らずに記憶から消える」「雑談ばかりで時間を消費する」「つながりばかり増えるが、自分の力は変化していない」といった課題がある。「エンジニアは手を動かすのが大事。もちろん1人でもできるけど、意思を保つのが難しいので、もくもく会に参加するとよい」と小林さんは語る。段取りもなく、ただ作業するだけのイベントで集まる意味はあるのかという疑問もわくが、「人が集まり、人が近くにいるだけでモチベーションは高まる。その場で質問できるのも安心する」(小林さん)という。
もくもく会主催のコツとしては、AppleTVやChromecastなどを使った共有のプロジェクタがあると発表の時も便利ということ。あとは自己紹介を必ず最初にやる。「もくもく会はテーマに沿って人が集まるイベントなので、基本的に他人同士。まったくしゃべらないイベントになる可能性もあるので、自己紹介や成果発表は必要だと思う」と小林さんは語る。人数は10人くらいでよいので、コアなメンバーを集めるためあえて条件を高めて、メンバーをフィルタリングする方がよいという。小林さん自身はおもにC#のもくもく会を定期的に行なっており、XamarinやASP.NET、Windowsなどをテーマにしているという。