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ポケモンGOだけじゃない!あなたのアプリを「中毒化」する6つのヒント

2016年08月02日 23時00分更新

文●Aja Frost

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中毒性のあるサービスやアプリのUXを考えるために、参考になる事例まとめ。「ゲームやっている暇なんかないし」なんて言っているデザイナーさんこそ、いますぐゲームを始めたほうがいいかもしれませんね。

日本でもおなじみの「キャンディークラッシュ」や「Farmville」「Powerball」など、オンラインゲームが私たちの日常生活に浸透しているのは、楽しくて、やった分だけ達成感が味わえるからでしょう。レベルを上げたりゲームで勝つことは人を満足させ、ちょっとしたプライドさえも与えてくれます。

UXをより参加型にし、中毒性のあるものにするためには「ゲーミフィケーション」がおすすめ。

今回紹介する6つの事例を見ると、ゲーミフィケーションがありとあらゆるタイプのサイトやアプリに取り入れられていることが分かると思います。ぜひ参考にしてください。

1.ゲーム風のポートフォリオ

デザイナーのRobby Leonardi氏は、自身のサイトにゲーミフィケーションを持ち込み、サイトをゲームに変えてしまいました。

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サイトにアクセスすると、ウェルカムバナーが表示され、その下には自身を模したゲームキャラクターが登場します。マウスを数回動かすうち、訪れたユーザーはこのキャラクターが操作可能であることに気がつくでしょう。

ジャンプ、飛ぶ、気球で飛び回るなど、キャラクターを操作していくうちに、Leonardi氏のこれまでの素晴らしいキャリアがアニメとして表示されていきます。

「ゲームの旅」は最後、メールの問い合わせフォームで締めくくられます。その時点でサイトを訪れた人のなかには、彼に魅了され、彼を雇いたいと思う人もいるでしょう。

Leonardi氏と同じようなポートフォリオは他ではあまり見られませんし、彼の作品からインスピレーションを得るのもよいでしょう。たとえば、UIにビジュアルゲームの要素を加えて小説のようなスタイルにすることで、ユーザーの好奇心をくすぐるのも1つの手です。

2.データをビジュアル化したダッシュボード

Daytum」は日常生活のさまざまなデータをチャートやグラフの形で表現してくれるサイトです。

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たとえば、あるユーザーは自分がよく再生した曲を円グラフにしました。また、1年間で何日働いたかを記録してビジュアライズしたユーザーも(記録は2012年までにさかのぼります)。

このサイトにおけるゲーミフィケーションの要素は若干分かりにくいのですが、ポイントを積み上げたり、過程をトラッキングできるところが、ゲーミフィケーションの一種と言えます。

ユーザーを競わせる以外のやり方で、ゲーミフィケーションのアイデアを取り入れている良い例ですね。Daytum上では、誰もが自由に自分のダッシュボードとテーマを作成できます。自分の結果やアップデートを他人と比べることはありません。

3.モチベーションを維持させるアプリ

ユーザーの生活の質を向上させようとするアプリの多くにはゲーミフィケーションの要素が含まれますが、「Balanced」はそのなかでも特筆すべき例です。

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毎回タスクを完了させるごとに「Done」というマークを右にスワイプします。すると、「Just done」というタグがタスクの下に表示され、「Nice One」という文字が画面上に表示されます。この反応は、それだけでは面白みに欠けるかもしれませんが、他のタグの演出などと総合的に見るとユーザーのポジティブな反応を期待できます。また、「Done」のバーの色を緑にしているのも注目すべき点。緑はバランスやエネルギー、そして健康を想起させる色だと言われています。

タスク管理アプリの「Todoist」もゲーミフィケーションを上手く活用しています。

このアプリではユーザーの生産性を上げるため、ポイント制のシステムを採用しています。TO DOリストの項目をチェックして自分で設定したゴールにたどり着くとカルマポイントがもらえる制度があります。逆に、もし自分で決めたタスクが締切日に2日以上遅れると、そのポイントが減るようになっています。

「カルマが貯まったら何が買えるの?」と期待する方もいるでしょう。しかし、何も買えません。Todoistのクリエイターはポイントを集めること自体が楽しく、それ以上のインセンティブを与える必要はないと考えています。

受け取れるポイントの数は、ユーザーのアプリの利用頻度や機能理解と関係します。こうした優れたゲーミフィケーションのアイデアは、さりげなくユーザーのロイヤリティーとアプリへの依存度を高めるのです。

4.ナビゲーション・ツール

グーグルは2013年に「Waze」に10億ドル以上の投資をし、利益を得ました。出資した3年後、Wazeは5千万人のアクティブユーザーを獲得したのです。

Wazeの成功には、ゲーミフィケーションがとても大きな役割を果たしました。

Wazeを使ったことのない人向けに説明すると、Wazeは従来のカーナビ機能に加えて、他のドライバーから“道”に関するアドバイスを得られます。たとえば、高速道路を走るときにWazeを起動させておけば、「1マイル先に警察がいる」や「3マイル先で事故があった」などを知らせてくれるのです。

Wazeはさまざまなポイントやランキング制度、バッジシステム(警戒システム)を用いて、ユーザーにアプリの利用と情報提供を誘います。

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道路の混雑状況やガソリンの値段を報告するたびに6〜8ポイント獲得。そして、ここがWazeが上手く工夫しているところなのですが、アプリを使用しながら走ると1マイル走るごとにポイントが貯まります。こうすることでユーザーは経路が分かっている目的地へ行くときでもアプリを開きたくなるのです。

また、ポイント集めのためのちょっとしたゲームもあります。ポイントが貯まるアイテムをランダムにデジタル上の道に配置し、ユーザーはそのルートを通ることでポイントを集めるというもの。集めたポイントを自分の住んでいる地域の他のユーザーと競い合うことでランキングが決定します。

Wazeのポイントは、上位にランクインして存在感を示せる以外に何の意味もありません。TodoistとWazeに共通しているのは、独自のポイントシステムを使っていることと、たとえ現実世界での報酬がなくとも、そのスコアと地位がプロダクト内で価値あるものとして十分に機能していることです。

5.キャリア・ネットワーキング・プラットフォーム

LinkedInのUXは決して格好良くはありませんが、ゲーミフィケーションの観点ではよくできています。このサイトは、ユーザーのプロフィールの充実度を数値化することで、プロフィールをできるだけ詳細に書くことを促します。

実はこのプロフィール、完成させることはできません。ずるい方法ですが、こうすることでユーザーに永遠に自分のプロフィールを追加・変更し続けるように誘い続けられます。

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LinkedInは過去3カ月の自分のページの閲覧者数も表示します。その数が過去と比べてどう変わったか、自分がいくつの「アクション」を実行できたか、そして会社やネットワーク内、または自分の専門分野の他の人と比べて自分のランキングがどう変わったかなども表示します。

こうして数値化して表示させることで、LinkedInはユーザーに自分のアカウントの変化と、専門分野における競争を促しているのです。

Linkedinは、自分の同僚よりも、そして過去の自分よりも順位を高めたいと思わせるように設計されています。こうした施策が、LinkedinをFacebookやInstagramくらい中毒性のあるものに仕立て上げたのです。

ユーザー同士を競い合わせることが難しいプロダクトの場合、ユーザーを自分自身と競い合わせる方法があることを覚えておくとよいでしょう。

6.ブログ・コミュニティー

ブログプラットフォームは世の中に山ほどありますが、なかでも「Medium」はそのすっきりとしたモノクロなデザインで常に競合を突き放しています。

しかしMediumがユニークなのはそれだけではありません。よく見てみると、上手くゲーミフィケーションを取り入れていることに気がつきます。

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他のブログプラットフォームと同様に、ネット上でステータスとなりうるフォロワー数も表示されますが、それだけでなく、ユーザー自身が投稿した記事の詳しい分析結果を見られます。先月は合計何人に閲覧されたか、何回シェアされたかといった数値が、ブログサイト全体だけでなく記事ごとでも確認できるのです。

しかもMediumは、親切にもパーセンテージまで示してくれます。たとえば、「○○%の人が記事をクリックして下までスクロールした」といった具合に。

これらの数値はブロガーのモチベーションを高めてくれます。さらに、Mediumの開発者たちはコンテンツを消費する側にもゲーミフィケーションを取り入れています。

記事に書かれるコメントに対して、ユーザーは感謝やお気に入りを意味する「♥」マークを付けられます。もし♥マークを多くもらえれば、そのコメントは上位に表示されます。一度に表示されるコメント数は限られているので、コメントする側は支持されるようなコメントを残そうという気持ちになります。また、そのコメントに対する反応にも♥マークを付けられます。さらに、読者は記事の中で気に入った文章をハイライトすることもできます。文章が何度もハイライトされると、色が変わり「トップ・ハイライト」の称号がもらえます。

ゲーミフィケーションに興味がある方は、以下の記事もぜひ読んでみてください。

(原文:6 Inspiring Examples of Gamification in Design

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