日本マイクロソフトは、Windows 10の無償アップデート終了と2回目の大規模アップデート「Anniversary Update」の配信を機に説明会を開催し、Windows 10の現状と今後について報道関係者に紹介した。「愛されるWindows」を目指すとして、今後もユーザーの声を聴きながらアップデートを重ねていく考えだ。
Windows 10は、従来のWindows 7/8ユーザーに対して1年間の無償アップデートを提供して、利用者の拡大を目指してきた。「Windows as a Service」として、今後はWindows 10を随時アップデートしていき、これまでのようにOSのバージョンが変わって追加料金を支払う、ということがない。
2015年7月29日の提供開始以来、1年間の無償アップデート期間が用意されており、その間もNovember Update(2015年11月12日)という大型アップデートが配信され、無償アップデート期間が終了した8月2日からは、1周年を記念したAnniversary Updateの配信が開始された。今年6月末時点では、毎月稼働しているWindows 10搭載デバイスが3.5億台を超え、「今まで最も速いスピードで、満足度も今までのOSで一番評価が高い」と業務執行役員 Windows&デバイス本部本部長の三上智子氏はアピール。
Windows 10を法人で導入検討している企業も増加し、グローバルの大手企業の87%が何らかの形で検証を開始しているという。特に国内ではWindows 10 Mobile端末も増加し、すでに12社が発表・発売をしており、「世界でもっとも日本が盛り上がっている」と三上氏。
Windows 10のサブスクリプションモデルを日本でも9月開始予定
クラウドソリューションプロバイダー(CSP)と呼ばれるパートナーから、月額7ドルでWindows 10 Enterpriseを提供するWindows 10のサブスクリプションモデルも提供。国内でも9月から開始予定で、IT管理者がいないような企業でもWindows 10を導入しやすい環境を構築する。
混乱を生んだWindows 10の無償アップデート通知
Windows 10の無償アップデートでは、対象となるPCに通知を表示してアップデートを促してきたが、無償アップデート期限が迫ってきた5月ごろから表示されるメッセージが分かりにくく、勝手にアップデートされてしまったなどのトラブルが頻発した。これを受けてマイクロソフトでは通知内容を変更して、ユーザー側でアップデートをキャンセルしやすくなるなどの対策をとった。
同社では、無償アップデートに際してサポートの人員を拡充。4月末からは日本独自に2.5倍のサポート体制を確保して問い合わせに備えていたが、通知内容が変わった5月ごろからは「アップデートしたくないのに分かりづらい」という問い合わせが急増。7月に通知内容を改善したところ、そうした問い合わせは減ったが、アップデート期限が迫ってきたため「アップデートしたい」という人の問い合わせが増えたという。8月以降は問い合わせが減ったが、「無償アップデートをしたかったがどうにかならないか」という内容の問い合わせも多いそうだ。
三上氏は、通知変更で「非常に多くの人に混乱を生じさせたのは大きく反省するところ」とコメント。「愛されるWindowsを目指しているので、お客様の声をちゃんと真摯に受け止め、本社との協業体制も整えて、日本のお客様にも愛されるものにしたい」と強調する。
今後は、Windows 10の魅力を引き出す新デバイス投入と法人展開を加速
今後は、Windows 10の新しい魅力を引き出すような新デバイスの投入で新たな価値の提供を目指すとともに、法人での展開を加速させたい考え。
Windows 10の魅力という点では、Anniversary Updateでも新機能が投入されている。「Windows Inkワークスペース」が追加され、ペン搭載デバイスで簡単に画面キャプチャをとってそのまま手書きしたり、手書きできる付箋機能が追加されたり、ペンをさらに活用できるようにした。日本語入力では、手書き入力枠が従来の固定枠から自由記入枠となり、入力しやすくなった。