6月に開催されたWWDC 2016では、「macOS Sierra」「iOS 10」「watchOS 3」「tvOS 10」という、4つのOSについての新情報が公開されました。7月19日発売の週刊アスキー電子版 1087号の特集は「Apple 4大OSの未来」。4つのOSに搭載されるテクノロジーについて、一般公開されている内容を基にわかりやすく紹介します。
私自身、iPhone 6 Plusを使用しているので、iOSの情報については特に注目していました。iOS 10の注目ポイントは、さまざまなAPIの開放です。純正アプリとしか連携できなかった「Siri」や「マップ」アプリのAPIがサードパーティーアプリでも利用可能になるため、新たなアプリの登場が期待できそうです。
ということで、今週の特集からiOS 10についての記事を抜粋して、ちょっとだけ紹介しちゃいます。(文● 海上 忍、吉田博英)
iOS 10で投入されるフレームワーク「SiriKit」とは?
「Siri」は、iOS 10で投入される フレームワーク「SiriKit」で大きく前進する。SiriKitはサードパーティーも利用できるAPIであり、Siriを活用したアプリの登場を意味する。iPhoneに話しかけることで機能を果たすアプリが、今後続々登場する可能性が高まるのだ。
SiriKitでできることは、音声/映像の呼び出し、メッセージング、 Apple Payによる決済、写真の検索、乗車予約、運動管理という6項目。基調講演では、話しかけた言葉がメッセージとして送信されるアプリや、Uberなどの配車サービスに口頭で乗車予約する様子が紹介されていたが、これらはアップルが定めた暫定的な動作範囲に過ぎない。
正確にいうと、SiriKitはAPIというよりも、Siriとアプリが連携 (インテント)することで機能を実現するための仕組みだ。「ヘイシリ」と話かけたり、ホームボタンを押したりしてSiriが呼び出され、話かけた言葉を認識すると、iPhoneにインストールされていアプリの中から命令内容に該当するアプリを探し出し、そのアプリに処理を委ねることで目的の機能を実現、結果をユーザに提示するという流れで進む。
RAW画像の加工がスムーズに!
iOS 10では「RAW撮影」が可能になる。対応機種は現在のところ、Apple A9プロセッサーを搭載するiPhone 6sシリーズとiPhone SE、9.7インチiPad Proの4製品。ただし、標準装備の「カメラ」アプリでの対応ではなく、新登場のカメラ制御APIを利用したサードパーティー製アプリが必要となる。
RAW撮影時の保存用フォーマットはAdobe DNGで、内蔵メモリーが2GB以上のiPhone 6sシリーズや9.7インチiPad Proでは最大120メガピクセル、 1GBのiPhone SEでは最大60メガピクセルで撮影可能だ。
RAW画像の撮影だけでなく、現像と表示も可能になる。16メーカー/400以上の機種のRAWデータを現像できるとのことなので、サポートレベルはすでに「写真」アプリでRAW画像の編集をサポートしているMacとほぼ同等といえる。
なお、iOS 10ではsRGBより色空間が25%広い「Display P3」というカラープロファイルがサポートされる。当面はiPadプロ(9.7インチ)限定だが、今後はRAW対応とあわせ広色域化も始まりそうだ。
「マップ」アプリがいよいよ乗換案内に対応
アップルが独自開発した「マップ」アプリは、iOS 6でデビューして以来最大規模の更新を迎える。それは、UIの変更や地図データの充実ではなく、Siriと同様に「インテント」を使うサードパーティー製アプリへの開放だ。
従来の「マップ」アプリは、iOS標準装備アプリとの連携を除けば単独での動作となっていたが、これからは検索したレストランを別アプリで予約したり、現在地を配車アプリに知らせるとともに予約したり、サードパーティー製アプリとの連携によりさまざまな処理を実行できる。
ユーザー目線で見れば「公共交通機関の乗換案内」が日本でスタートすることが最大の事件かもしれない。WWDCの基調講演では触れられなかったが、アップルのウェブサイトにある 「マップ」アプリの紹介をよく見ると、「日本の交通機関がまもなく到着します」という一文が。いよいよ日本でも、公共交通機関の乗り換えや運賃の検索が可能になるのだ。地下鉄の駅をつなぐ連絡通路まで表示されるというから、実用性は高そうだ。乗換案内では長らく他サービスの後塵を拝していただけに、アップルのお手並み拝見だ。
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■通巻:1087号
■発行:2016年7月19日(火)
■次号発行予定:2016年7月26日(火)
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