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Nokiaブランドのスマホやタブが復活! 山根博士が展開を予想

2016年05月19日 15時00分更新

文● 山根康宏 編集● アスキー編集部

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ノキアがブランドのライセンス提供を発表

 Nokiaのスマホが復活することになりました。5月18日、ノキアはフィンランドのHMDグローバル(以下、HMD)にNokiaブランドのスマートフォン、タブレットの利用ライセンスを提供すると発表。また、同日HMDはFIH Mobile(以下、FIH)と共同でマイクロソフトからNokiaブランドのフィーチャーフォン事業を買収すると発表しました。これによりNokiaのスマートフォン、タブレット、携帯電話が復活することになったのです。

ホンハイの子会社が、スマホ/タブでNokiaとライセンス契約
そしてMSが持つNokiaのフィーチャーフォン部門を買収

 今回の発表は、まずノキア傘下で研究開発及びブランド管理を行なっているノキア・テクノロジーズがHMDにNokiaのブランドと知的財産の10年間の利用ライセンスを締結。HMDはノキアへライセンス料を支払い、Nokiaブランドのスマートフォンとタブレットの製造開発を行ないます。

 そして、HMDとFIHはマイクロソフトの端末事業のうち、Nokiaブランドで展開しているフィーチャーフォン事業を3億5000万ドルで買収します。その中にはベトナム・ハノイにある工場と約4500名の従業員も含まれます。

 FIHはシャープを買収したホンハイ/フォックスコンの子会社でスマートフォンなどの端末を展開する企業。つまり、ホンハイはシャープに引き続き、ノキアの携帯電話も傘下に収めたことになります。今後は買収したベトナム工場を拠点にNokiaブランドのスマートフォン、タブレット、フォーチャーフォンの製造が行なわれる予定です。

マイクロソフトはHMDとFIHにNokiaブランドのフィーチャーフォン事業を売却

 ノキアの端末事業は2014年5月にマイクロソフトが買収を完了しました。買収後、マイクロソフトはきWindows 10 Mobileスマートフォン「Lumia」と、フィーチャーフォン「Nokia」の2つラインの製品をいずれもNokiaの名前で販売していました。

 そして、2014年11月にはLumiaスマートフォンを「Microsoft」ブランドに変更。現在、スマートフォンは「Microsoft Lumia」、フィーチャーフォンは「Nokia」のブランド名でそれぞれ販売しています。

 今回の発表により、マイクロソフトはフィーチャーフォン部門を完全に手放し、Lumiaスマートフォンに専念することになります。同社は大ヒット中のタブレット/2in1 PC「Surface」の名前を冠したスマートフォン「Surface Phone」を開発中とも言われています。

 PCからモバイルまで、Windows 10の普及を推進していくうえで、すべてのデバイスのブランドをSurfaceに統一することは理に適っています。また、世界的なフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進む中で、ノキアブランドのフィーチャーフォンの開発を継続する必要性も薄れていると思われます。

今回の動きはWindos 10の今後の展開を考えると妥当なもの?

Nokiaらしさを持った端末の登場に期待
スマホ市場に動きが起きる?

 一方、FIHは現在「InFocus」ブランドでスマートフォンを展開していますがグローバルブランドにはなりきれていません。また、マーケットシェアもわずかです。

 親会社のホンハイはフォックスコンがアップルを始めとする世界中のメーカーからスマートフォンやPCの製造を請け負っており、デバイス事業そのものは順調です。しかし、事業のさらなる拡大のためには自社ブランドでの製品展開も必要でしょう。今回の一連の動きは、マイクロソフトにとってもホンハイにとっても大きなメリットがあるのです。

InFocusブランドのスマートフォン

 では、これからどんな製品が出てくるのでしょうか? まず、Lumiaのブランドは使えませんから、HMD/FIHから出てくる製品は「Nokia」ブランドとして登場するでしょう。またFIHはすでにスマートフォンなどの製造実績がありますから、マーケティングの準備などが整えばすぐにでもNokiaブランドの製品を出すことは可能なはずです。とはいえ、既存の製品にNokiaの名前をつけるのではなく、ここはぜひともNokiaらしさを感じさせるデザインやUIなどを搭載してほしいものです。

 たとえば2014年2月に発表された「Nokia X」はノキア初のAndroidスマートフォンですが、Lumiaに合わせたタイルベースの独自のUIを搭載していました。

 また、2014年11月に発表したAndroidタブレット「Nokia N1」もアルファベットの手書きでアプリをクイック起動できる「Z Launcher」という独自のUIを搭載していました。ちなみにこのN1はフォックスコンが製造、モバイル端末として恐らく最初にUSB Type-Cを採用した製品です。どちらも他社のAndroid製品と差別化できる、Nokiaらしい端末でした。

UIに特徴のあるNokia最初のAndroidスマートフォン「Nokia X」

 HMD/FIHとしては今でもまだ根強いブランド力を持つNokiaの名前をつかって製品展開を行なうわけですから、スマートフォンのラインアップはボリュームゾーン向けの製品だけではなく、ハイエンド品も提供していくことも予想されます。

 今や中国の新興メーカーからも次々に低価格なハイエンドスマートフォンが出てきています。Nokiaブランドの超ハイスペックスマートフォンが登場することは大いに期待できるでしょう。既存のAndroidスマートフォンメーカー各社も、Nokiaの再参入は無視できない存在になるはずです。

ノキアの復活が大いに期待できる!

 世界中に認知されていたNokiaのブランドと、世界中のスマートフォン製造を引き受けているフォックスコンの子会社がタッグを組んだことで、Nokiaのスマートフォンは既存のメーカー間のパワーバランスに大きな影響を与える存在になるかもしれません。果たして最初スマートフォンはどんな製品になるのか、そしていつごろ登場するのか。今後の発表には大いに期待したいものです。


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