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東京から1時間の人口流出都市、横須賀の憂鬱と希望 第3回

ヤンキーだらけは本当か?地元出身者が横須賀の今を語る

2016年05月18日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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人口流出に悩む横須賀の未来を切り開くヨコスカバレーの相澤謙一郎さんの取材に引き続いては、横須賀出身のTIS内藤稔さんと相澤さんによる横須賀トークを披露する。治安が悪い、足が悪い、見どころがないという横須賀のイメージは本当か?相澤さん率いるタイムカプセルの谷戸オフィスで聞く。(以下、敬称略)

ヤンキーだらけだった横須賀は今

大谷:いやあ、すごい場所にありますね。ふもとから見上げると、本当にこの先にオフィスがあるのか不安になりましたが……。

相澤:でも、横須賀駅に10分で行けるなんて、最高にいい場所です。横須賀は本当に広くて、車で端から端まで1時間かかります。しかも電車の通ってないところばかり。終バスが22時台に終わってしまうのですが、若い時はお金がないからタクシーあまり使いたくない。だから、30~40分くらい浦賀とかから歩くんですよ。内藤さんも終バス後はけっこう歩きました?

谷戸の廃屋を改装し、モバイルアプリの開発を行なっているタイムカプセルの相澤謙一郎さん

内藤:僕は汐入よりも、逸見から30分くらい歩いてました。汐入から帰ると、途中にコンビニがあって、ヤンキーが溜まっていて危ないので(笑)。

相澤:危ないですね。必ず「オーイ」とか言われます(笑)。

内藤:でも、逸見から歩くと本当に真っ暗で、幽霊が出そう。でも、ヤンキーをとるか、幽霊をとるかで、結局幽霊のほうがいいかなと(笑)。

相澤:僕らがガキの頃は、ヤンキーが各所にいてですねえ。僕もしょっちゅうからまれてたんですけど、吉田市長が言っていたように、今は本当にいなくなってます。内藤さんは横須賀高校という横須賀唯一の進学校を出ているそうですけど、僕は横須賀学院という偏差値50くらいの高校出身でした。そんな横須賀学院も特進クラスだと、もう偏差値60くらいに上がっているんです。

内藤:当時を知っている人からすると、驚きますよね。

相澤:僕、地元の高校でプログラミングの講師をしていますが、生徒の中には早稲田や慶応入っているやつがいて、この前教えたヤツは東大ですよ。20年前は考えられなかったことなんです。横須賀のいろんな高校で教えてますが、追浜や大津とかもけっこうレベル上がっていて、昔は荒れてた三浦高校もすごいレベル上がってる。

内藤:そうそう。三浦高校は衣笠駅から歩くと、横須賀学院行く途中にあるんですけど、昔はあそこも「からまれポイント」でした(笑)。だから、どうやって迂回するか、しょっちゅう考えてました。

どぶ板通りのスカジャン店。昔はこの通りも「からまれポイント」だったという

相澤:危ないですね。

内藤:でも、三浦高校も三浦学苑になってから、すごいですよ。スポーツもすごくて、インハイで優勝とかしてますから。

相澤:子供たちのレベルも上がってますし、危険もないので、本当に住みやすくなったと思いますね。

内藤:あと、中学時代めちゃくちゃ突っ張っていたヤツが、大人になるとめちゃくちゃいいヤツになってるんです。

東京にも簡単に出られる横須賀の地の利

大谷:東京から近いのも驚きました。私はもともと小中高まで神奈川県の大磯だったので、大学時代は東海道本線で1時間半かけて大学に通ってました。それから比べれば、めちゃくちゃ近い感覚です。

相澤:もともと横須賀は品川まで50分だし、新橋も京急使えば一本で着く。都内であれば、ちょっと遠くても1時間半あれば行けるわけですよ。朝は地獄のように混んでますけど、昼間ならすいているので、電車で座ってパソコン開いて仕事できます。ラッシュに巻き込まれさえしなければ、快適に通勤できます。

内藤:京急使うなら、ウイング号もありますよね。

相澤:そうそう。18時とか、19時とかは京急めちゃくちゃ混むんですよ。でも、300円くらい足して、座席を予約できるウイング号に乗れば、平和に帰って来られます。ただ、どうしても缶ビールもいっしょに買っちゃうんで、結果的に追加500円くらいになるんですけど(笑)、まあこれが幸せなんですよ。

内藤:極楽ですねー。リモートワークがこれから普及するのは確実なんですが、企業にとってはどうしてもリモートワークでカバーできないところもある。やっぱり打ち合わせ直接出向かないと行けないことってあるじゃないですか。そういうとき、横須賀だったら、普段はテレワーク、週に2回くらい都内に出向くというのが現実的に可能です。

駅から10分のところにあるとは思えない自然豊かな谷戸

大谷:そういう意味では、横須賀は東京に近いという点がメリットですね。対面もできるほどよい距離感があるので、新しいワークライフバランスを試せる町なのかもしれませんよね。

内藤:うちの会社のミッションの1つとして、「ゆとりある社会をITで作る」というのがあります。その意味で、横須賀で働きながら、自然のあるところで楽しく生活するというのは、正しい未来だと思います。

大谷:地元に住みたい人たちが、地元できちんと食べていけるというシンプルなことが、日本ではなかなか難しい。

内藤:昔は対面しないと打ち合わせできないというのもありましたけど、今は必ずしもそうではない。海外事業やっているので、インドネシアのメンバーと会議してますけど、Skypeで全然問題ないです。

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