成熟する中国スマホ市場
スマホの平均価格はこの2年で2割も上昇している
注目すべきは2機種とも4万円台であるという点だろう。Lenovoがマス狙いの低価格帯に製品を揃え、Xiaomiが比較的高スペックなスマートフォンを安価に提供する、という戦略だったのに対し、2社のスマートフォンは決して安価とはいえない。
2013年は207ドルだった中国市場の平均販売価格(ASP)だが、2015年には257ドルに上昇している。地域差はあれどスマートフォンはユーザー間に一巡し、買い替えユーザーが出てきており、ミッドレンジの価格帯で展開するOppoやVivoはこの市場にはまったようだ。
Lenovoの幹部も最初安価なスマートフォンを買っていた人が、買い替えではグレードアップしたものを買う傾向があると語っていた。となると、Lenovo自身、そして若者に人気のXiaomiまでもこの市場トレンドのスピードを把握できなかったということなのだろうか。
IDCの世界スマートフォン市場では出荷台数が前年同期の3億3430万台から微増の3億3490万台であるのに対し、Strategy Analyticsの中国市場レポートによると、中国市場は同期、5%のマイナス成長となっている。背景として市場の成熟、それに経済環境、在庫などが挙がっている。
それでも中国が世界最大のスマートフォン市場であることに変わりなく、中国のトレンドが世界のシェアに大きく影響する状態は続きそうだ。なお、Strategy Analyticsの調査では、中国市場の上位ベンダーはHuawei(シェア15.8%)、Oppo(同12.6%)、Xiaomi(12.2%)、Vivo(11.9%)、Apple(11%)。やはりHuawei、Oppo、Vivoの3社がプラス成長、XiaomiとAppleはマイナス成長に終わっている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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