
今回のことば
「アクアは、家電づくりの常識を疑うことからはじめる。その上で、ライフスタイルにあわせた冷蔵庫や、ライフステージにあわせた洗濯機を投入していく」(アクア 日本代表 執行役員の山口仁史氏)
アクアの強みは家電を利用した新ビジネスだけではない
中国ハイアール傘下のアクアが、新体制をスタートさせた。
1月11日にハイアールアジアからアクアに社名変更。さらに、3月10日付けで、前任の伊藤嘉明氏が社長兼CEOを退任。新たに、アクアの日本代表 執行役員として、山口仁史氏が就任して、代表取締役社長兼CEOの杜鏡国氏とともに、経営の舵取りを行うことになった。
新体制となって最初の会見で、アクアの日本代表 執行役員の山口仁史氏は、「アクアは、家電づくりの常識を疑うことからはじめる」とこれまでの姿勢を継承する一方、「昨年は、2回の発表を通じて、イノベーションのある製品を紹介し、大きな注目を浴びることができた。だが、昨年末頃から、いま一度、アクアのコア事業である洗濯機、冷蔵庫などをしっかりと紹介したいと考えていた」と語り、「アクアは、ライフスタイルにあわせた冷蔵庫や、ライフステージにあわせた洗濯機を投入していく」と語った。
確かにここのところ、アクアは飛び抜けた発想の製品を相次いで発表し、話題を集めてきた。世界一小さい洗濯機とする「コトン」や、外から洗っている様子を見ることができるスケルトン洗濯機、そして、液晶パネルを搭載した冷蔵庫の「DIGI」、「スター・ウォーズ」シリーズの人気キャラクターである「R2-D2」の原寸大冷蔵庫も発表してみせた。
これらの製品は、伊藤前社長のリーダーシップによるところが大きく、「家電の嗜好化」、「家電を利用した新ビジネス」にフォーカスしたものであったが、その一方で、話題性のある製品ばかりに注目が集まり、本来のビジネスである、一般的な冷蔵庫や洗濯機におけるアクアの強みが伝わりにくくなっていたのも事実だ。
この発表は昨年から計画されていたものであり、伊藤前社長時代からの仕掛けではあるものの、新体制となって最初の会見が、基本路線ともいえる既存ビジネスの製品群の発表だった点は、アクアの今後の基本姿勢を改めて示すものだったといっていいかもしれない。

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