これからのVenmoとマネタイズ
驚異的な成長率で注目を集めるVenmoだが、同社の課題はすべてのベンチャーが抱えている「マネタイズ」という部分に集約してくる。前述のように、基本手数料無料なのがVenmo利用のユーザーにとってのメリットであり、同時にVenmoが自身のビジネスを構築するうえでのハードルとなる。もしマネタイズを考え始めた場合、重要なのは「Venmoの利用場面を増やす」ことだ。仮に現時点で広告モデルを採用したり、有料課金をスタートしたら、とたんにユーザーは離れていくだろう。そこで、膨大なユーザーをバックに使える場面を現状より増やすことで、マネタイズのチャンスを探っていく。
Ready氏は、将来的にモバイル決済におけるEコマース(Webペイメント)の割合が、対面決済と呼ばれる店頭でのタップ&ペイを上回ることになると予想する。これは筆者も同意で、例えば現状のApple PayではNFCによるタップ&ペイが決済手段の中心にあるが、将来的にはApple Payに対応するWebサイトが増加し、Eコマースでの決済比率が徐々に増加してくると考えている。同様の現象は、Venmoを含む多くのモバイル決済サービスでも同様だろう。
チケット購入サービス「Gametime」
このVenmoの最近の動きについて、PayPal東京支店でディレクター兼CMOを務める藤本恭史氏に話をうかがったところ、面白い事例をふたつほど紹介してくれた。ひとつはチケット購入サービスの「Gametime」で、スポーツゲームなどのチケットをオンライン購入するためのオプションとしてVenmoを指定できる。Venmoで共同購入したチケットは、同サービスを使えば簡単に代金を集めることが可能なので、まさにうってつけの組み合わせだろう。
料理配送サービス「Munchery」
もうひとつは「Munchery」というサービスで、これはいわゆる「ケータリング」や「シェフの派遣」、「料理配送」をサービスとして提供している。
米国ではご存じのようにホームパーティが頻繁に開催されており、この代金を複数人の参加者で等分して負担する場面が出てくる。そこで出てくるのがVenmoでの支払いオプションで、Gametime同様に参加メンバーで割り勘することが可能だ。
またMuncheryのようなケータリングサービスでなくても、通販などで共同購入した物品を近所で分け合う場面もあるだろう(特に使用頻度の低い調味料などを大量購入しなければならない場面が顕著だ)。こうした場面でもVenmoは活躍する。
GametimeやMuncheryとの間でどのような契約が発生しているのかは不明だが、いずれにせよこうした利用場面の拡大の中でマネタイズを模索していくことになると考える。Fortuneは、PayPal同様に2.9%のトランザクション利用料に30セントを上乗せした金額を手数料として徴収する可能性を指摘している。