プレオーダーした人に共同創業者が製品版を手渡し
Oculus Riftの製品版がとうとう出荷! 意外にも今までは開発キットでした
2016年04月03日 10時00分更新
VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!
The first Oculus Rift has shipped, deliveries begin Monday 3.28.2016. pic.twitter.com/C0MMKmezun
— Brendan Iribe (@brendaniribe) 2016年3月24日
Oculus VRのCEO ブレンダン・イリベさんが、Oculus Riftの出荷をツイート
3月28日はOculus Riftの出荷日だったんですよ!
どうも〜、VRおじさんこと広田です! こんにちは。
2016年はVR元年と言われてますが、3月28日にOculus Riftが製品版をとうとう発売しました。VR業界の念願がついにカタチになったという感じですよね。
Oculus VRは2012年にKickstarterで出資を募って、目標金額のおよそ10倍となる243万7429ドル(約2億7300万円)を調達しました。2013年には第1世代の開発キット「DK1」を出荷。そして2014年には、第2世代の開発キット「DK2」をリリースし、さらにFacebookが20億ドル(約2240億円)で同社を買収するというニュースもありました。そこから販売されなかった開発キット「Crescent Bay」を経て、今回の製品版につながっています。開発キットだけで、ここまで話題になっていたのがスゴいですよね。
そうした長期間の思いもあって、Oculus VR自体もかなりお祭りムードだったと感じます。なぜなら、Kickstarterで支援してくれた方には、お礼の意味を込めて製品版をプレゼントするという粋な計らいをしています。
さらにプレオーダーした1人目はアラスカに住んでいますが、Oculus VR共同創業者のパルマー・ラッキーさん自らがわざわざ飛行機に乗って現地を訪れ、手渡しに行くというサプライズを敢行してます。
Personally delivering the first Rift to Alaska!
Palmer Freeman Luckeyさんの投稿 2016年3月26日
DK1はKickstarter以外のサイトでも販売していましたが、残念ながらそっちの方々は製品版をもらえていません。気持ちとしては、「いいものかどうかわかない状態」でも支援してくれた人たちへのお礼ですね。
あとは、FacebookのCEO、ザッカー・バーグが、FacebookでOculus Riftの使い方を生中継で紹介してたりして、かなり力が入ってるのが伝わってきます。
Kickstarterは、支援してもプロジェクトが途中で頓挫することもありイイ話ばかりではないところに、「イイ話キター!」と大あたりのプロジェクトですね。
もしOculus Riftを手に入れたら、どう使えばいいの?
日本のVR業界では、有志による「草の根」開発がとても盛んです。だからと言って、ソフトを開発する能力がなければ製品版のOculus Riftを楽しめない……というわけではありません。
製品版のハードと一緒に、アプリストアやライブラリー、フレンド機能などが含まれている「Oculus Home」というプラットフォームソフトが公開されました。これによりアプリストアの画面で面白そうなタイトルを見つけてダウンロードし、Oculus Riftをかぶってバーチャル世界に飛び込めるようになりました。スマートフォンの構造と同じですね。
ローンチタイトルは30あまりあって、日本からはコロプラさんがパズルゲームの「Fly to Kuma」とテニスゲームの「VR Tennis online」の2本をリリースしています。VR Tennis onlineはオンライン対戦もできて、パルマーさんも結構ハマってるっぽいです。
しかし、筆者の観測範囲では、日本でまだ製品版が届いた人は1人もいないのがちょっと残念。なので、保証対象外になりますが、既存のDK2でもこのOculus Homeが動くので、少しでも雰囲気を味わおうと体験するのもアリでしょう。例えば、「Lucky's Tale」というアクションゲームや「Henry」というVRアニメが無料で配布されているので、作り込まれたVRコンテンツがどんなものか試すのにピッタリです。
製品版とDK2の画質差は大きく、同じコンテンツでもまったく別物の体験ですが、店頭では買えないし、公式オンラインストアで今から申し込んでも出荷は7月なので、DK2ユーザーならやってみる価値はあるかも!?
Oculus Riftの発売で、いよいよコンシューマーVRの幕開けが訪れそうです。4月4日には台湾のHTCと米国Valveがタッグを組んで作ったPC向けVRヘッドマウントディズプレー「HTC Vive」の出荷が控えてたりして、来週もアツくなりそう!
広田 稔(VRおじさん)
フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。
この連載の記事
-
第34回
VR
グーグルのVR注力から予測する、「経験」を検索できる未来 -
第33回
VR
ついに発売のOculus Touchとは? 一番の魅力は「手の再現」 -
第32回
VR
未来は「ながらVR」が当たり前? リアルよりバーチャルの世界が快適になる可能性 -
第31回
VR
ニコニコ超パーティーの360度配信で感じた、「ライブ感」をVRで演出する難しさ -
第30回
VR
なぜ「Mikulus」はキャラの存在を感じるのか? 答えは「引き算」にあり! -
第29回
VR
「VR元年」 激動の10月を受けて今後どう変わっていく? -
第28回
VR
PlayStation VRレビュー、最高のコンテンツ体験だが「もったいない」ところも…… -
第27回
VR
Oculus開発者イベントで見えてきた「会いに行けるVR」への布石 -
第26回
VR
セルフィーも空からの時代に! 個人向け製品+VRが切り拓く未来 -
第25回
VR
見えてきた「VRならでは」の体験、「ぶっ壊し」がいちジャンルとして成長する!? -
第24回
VR
TGSで存在感を放っていたHTC Viveのグリーンバック合成、剣舞に酔いしれたり、ライブに参加したり - この連載の一覧へ