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日本のITを変える「AWS侍」に聞く 第18回

スタートアップで働く外国人エンジニアから見た日本のエンジニア・勉強会

Moneytreeを支えるシャロットさん、日本でのエンジニアライフを語る

2016年03月11日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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英語が不得手なのはもったいないと思う

 日本語の壁があるにもかかわらず、JAWS-UGやiOS/Androidの勉強会にも参加している。「2年前はJAWS DAYSの英語トラック(iJAWS)でSWFについて話しました。あと、re:Inventには毎年参加しています。re:Inventはセッションに出るというより、プロダクト担当にこんな機能が欲しいという要望を出しに行ってる感じです」と語る。

 特にSWFに関しては、情報収集に苦労したようだ。「SWFは正直マイナーなサービスで、最初は使っている人が全然いなかった(笑)。だから結果的にグローバルでも弊社はかなりヘビーなユーザーになっていて、プレゼンも重宝がられた。AWSのプロダクト担当に対するフィードバックをきちんと反映してもらった」とシャロット氏は語る。

 日本のコミュニティ活動については、「日本は1~2時間勉強会というところが多いけど、エンジニア同士が話せる懇親会をもっと増やしたほうがいいと思います」という印象。シリコンバレーのイベントは、特定のテーマを設定して話したり、エキスパートに質問できるコーナーがあったり、コミュニケーションに重きが置かれており、そういった部分は日本のコミュニティにも重要だという指摘だ。

 日本語も堪能なシャロットさんに日本のエンジニアについて聞くと、「やはり英語が不得手なのはもったいないと思う。新しいサービスのドキュメントを読めないというのはリミットになってしまう」と指摘。「日本はハードウェアが得意だった代わりに、ソフトウェアに比重を置いていなかった。でも、ソラコムやメルカリ、Origamiなどいろんな面白いスタートアップが増えてきたので、日本も変わっていくと思う」と語る。

「英語が不得手なのはもったいない」(シャロットさん)

バリュースタックのつねに上を目指していく

 2013年4月にiPhone版でスタートしたMoneytreeだが、すでにダウンロード数は100万近くまで進んで絶好調。iPadやAppleWatch、Web版などの対応を進め、先日は満を持してAndroidのβ版をリリースした。

 こうした個人向けのサービスに加え、昨年からは法人向けのデータアグリゲーション「MT LINK」を開始し、他のクラウドサービスとの連携も拡げているところだ。個人向けの資産管理アプリから幅広いユーザーを対象とするFinTechプラットフォームへと進化を続けている途中だ。

 マネーツリー広報の山口賢造さんは「今まで銀行の法人口座を利用するためには、Windowsのアプリケーションと電子証明書が必要だった。セキュアではあるけど、非常に使い勝手が悪い。そこで、うちはクラウド上で電子証明書を発行し、マルチデバイスで利用できるようにしている。提携している会計会社からは非常に好評です」と語る。

 こうした技術革新が進む中、シャロットさんが気になるのはやはりマイクロサービスの機能を提供するAWS Lambdaだという。「開発者がわざわざサーバーの管理者になる必要はないと思うし、マイクロなサービスにわざわざサーバーを立ててやるのはやはり面倒。Lambdaであれば1日15コールあっても、1ヶ月100円くらいで使えるし、トラフィックスパイクがあっても大丈夫。サーバーレスクラウドの未来のアーキテクチャ。新しいことができると思う」とのことで、複数のモバイルデバイス間でユーザーのIDとデータを同期できるAmazon Cognitoとともに、Moneytreeでも積極的に導入しているという。

 このように新しもの好きなシャロットさんは「EC2、Beanstalk、Heroku、Lambdaなど、とにかくバリュースタックの上にどんどんチャレンジしていきたい。AIも今後使っていきたいし、いつも上のレベルを目指していきたい」と語る。グローバル進出やFinTechなど新しい局面を迎えるマネーツリーの中で、つねに上のレベルを目指すシャロットさんの力が、いままさに必要とされている。

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