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長年の謎とされてた単細胞生物が光の方向を感知するしくみ

自らの身体自体をレンズにして光を感知する単細胞生物のマイクロ光学系

2016年02月11日 09時00分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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球状の単細胞生物がその身体自体をレンズにして集光している (DOI: http://dx.doi.org/10.7554/eLife.12620)

 光に向かって泳ぐ走光性を持つ単細胞生物は、身体全体をレンズとして光の向きを感知するという研究結果が2月9日に公開された。

 これはドイツ・英国・ポルトガルなどの大学による共同研究結果で、オープンアクセスジャーナルeLIFEに掲載された。これまでにも単細胞生物のようなシンプルな生物でも光に向かって泳ぐ走光性があることは知られていた。しかし、複数の受光細胞からなる眼を持つ生物とは異なり、1つの細胞しかない単細胞生物が光の方向を感知するしくみに関しては謎だった。

シアノバクテリアの走光性と光学的解析  (DOI: http://dx.doi.org/10.7554/eLife.12620)

 研究対象としたのはシアノバクテリア「シネコシスティス」。マイクロメートルサイズの球状をした単細胞性球菌で、光合成を行なうため線毛によって光に向かって泳ぐことができる。研究では、シネコシスティスにレーザー光を当てて(ランダムウォークではなく)直接の走光性があることを確認している。

 研究チームでは、シネコシスティスの細胞でどのような光学効果があるのかを検証した。球状の細胞自体がレンズになっていると推測し、検証のために蛍光タンパク質を作り出す変異体を用いて方向の制御を確かめた。シネコシスティスの身体を透過して集光した部分が化学シグナルを発生、線毛を動かすモータータンパク質を作り出して光源に向かって泳ぐしくみであることがわかったという。

 研究報告では、光を感知する単細胞生物はシネコシスティスのような(球状の)シアノバクテリアだけではなく、棒状の生物やコロニーを形成する生物もいるため、今回のようなマイクロ光学系がさまざまな微生物でどのように働いているのかを研究を進めつつ、生物学的意義を探求するとしている。

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