本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
2016年の「Macで確定申告」、どうなる?
大半の給与所得者にとって普段は無関係だが、転退職などの折に突然浮上する「確定申告」。納税は国民の三大義務のひとつ……などと大上段から言うまでもなく、手間はかかるが乗り越えねばならないイベントだ。
その確定申告が電子化対応(e-Tax)していることは、経験がなくてもご存知だろうが、これまでMacユーザーにとっては少々遠い存在だった。約10ヵ月前、当コラムでも『Yosemiteユーザーは注意! - 「Macで確定申告」を考える』という記事で状況をレポートしたとおり、導入には多少のスキルを要求される。Javaランタイムやスマートカードドライバも自力で用意しなければならず、ビギナー層にはとても勧められない”苦行”の連続だ。
いずれ問題も解消されるだろうと1年前は楽観的に考えていた筆者だが、「そろそろ27年度分を……」と準備を始めたところ、がく然とした。Yosemiteのときヒーヒーいいながら構築した環境が、El Capitanではいちからやり直し。正直、電子申告を諦め税務署に出向いて確定申告しようかと思ったほどだ。
理由のひとつは、OS Xのセキュリティが大幅に変更されたこと。El Capitanで導入された「System Integrity Protection(SIP、通称rootモード)」はデフォルトで有効、/usr/libexec
ディレクトリ以下への書き込みは禁止されるため、ICカードリーダのドライバをインストールできない。そのままでは住基カードに記録された電子証明書を読み取れないので、リカバリモードで再起動してSIPを無効化、その後ドライバの手動コピーを行なうはめになった。
Windowsとは異なり独立動作型ソフトが提供されないOS Xの場合、Javaを利用する「e-Taxソフト(WEB版)」を利用することになるが、こちらも厳しい。Javaランタイムはいいとして、利用者クライアントソフトやルート証明書など個別に入手/インストールしなければならないものが多く、導入手順は以前と変わらず難解だ。
ただし、状況の変化は反映されている。個人認証用のカードには、従来の住基カードに加えて個人番号カード(マイナンバーがICチップに記録されたカード)も利用可能となった。今後住基カードの新規交付・更新は行なわれないため、当然といえば当然の措置だが、電子証明書の有効期間(3年)が切れる前に個人番号カード交付申請を行なわねばならないかと思うと頭が痛い。
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