Apple対Samsungの特許訴訟で米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は1月18日、Appleの特許を侵害しているとしてSamsungに該当製品の米国への輸入と販売を禁じる判決を下した。提訴から約5年が経過しており、対象製品も「Galaxy S3」など旧機種が中心であるため、Samsungへの直接の影響は限定的とみられる。
訴訟は2011年から続いているもので、Appleは5件の特許を侵害しているとSamsungを提訴し、損害賠償金として22億ドルと製品の販売差止を求めていた。
2014年5月の陪審ではAppleの主張が一部認められ、Samsungに対し1億1860万ドルの損害賠償金支払いを命じたが、該当する製品の販売差止は命じなかった(Appleは、Samsungが主張していた2件の特許のうち1件の特許侵害が認められ、15万8400万ドルの損害賠償金支払いが命じられた)。
Appleはその後、これを不服として米連邦巡回控訴裁判所に持ち上げた。控訴裁は2015年9月、一審の判決を覆し、再審理を求めて差し戻した。Samsungは今年に入り、2014年5月の陪審評決の破棄を求める書類を控訴裁判所に提出している。
今回、Lucy Koh判事は3件のApple特許のSamsungによる侵害を認めた。”クイックリンク”ことデータ検出とリンクに関する特許である’647特許(米国特許番号5,946,647)は「Galaxy S2」「Galaxy S3」「Galaxy Note2」など9機種が該当しており、スライド式ロック解除の’721特許(同8,046,721)は「Galaxy Nexus」など3機種、そして自動修正の’172特許(同8,074,172)は「Galaxy S2」など7機種が不正に利用しているとし、これらの製品の米国への輸入、米国での製造、使用、販売などが禁止となった。
判決は30日後に有効となる。なお’647特許は30日の猶予期間中である2016年2月1日に特許の有効期限が切れるため、これについては事実上Samsungの影響はなさそうだ。Foss PatentのFlorian Mueller氏は、Appleは判決を即有効にすることを求めていたがこれは認められなかったと付記しながら、販売差しどめを勝ち取ったことは「Appleの社内外にとって重大な功績」になるとしている。
Samsungは1月19日声明文を発表、「Samsungの一部のレガシーの携帯電話」に対してAppleが販売差しどめ例を勝ち取ったことに遺憾を示しながら、「フラッグシップスマートフォン全製品は今後も米国で販売され、顧客サポートを提供する」と伝えている。
SamsungとAppleの法廷での対立は長期化しているが、Google、Facebookら米国企業数社、それに電子フロンティア財団(EFF)などの複数の非営利団体が米最高裁判所にSamsungを支持し特許法の見直しを求める意見書提出したことが報じられている。