中国ではネット小説やビジュアルノベルの
ビジネスモデルが成熟している
「日本で死にます」は「橙光遊戯」というビジュアルノベル制作ソフトで作られている。橙光遊戯のサイトには、多数の作られたビジュアルノベルが掲載され、その中には「当代社会生存遊戯」とよばれる、現代の社会問題に直面するビジュアルノベルも少なくない。
教材であれ古典であれ、難しい題材を漫画で読むと読みやすいのと同様、ビジュアルノベルにすることでわかりやすく伝えたいという人がいて、できたゲームを多くの人がプレイする。
「橙光遊戯」のツールは、無料でダウンロードでき、またツールの使い方が複数の中国の動画サイトにアップされ、サンプルゲームが用意されている(例えばこちら)。中国語がわからないと理解が難しいが、中国人からすれば、ビジュアルノベルを作るハードルは低いわけだ。
しかも、ツールで作成して、多く遊ばれた作品については、広告収入の一部が制作者に落ちる仕組みとなっている。同サイトでは、3ヵ月で7000元(約12万6000円)の収入がある人気作品もあることを紹介している。
中国ではネット小説サイトが成熟し、読まれると小銭が落ちるシステムができている。ビジュアルノベルでも、サイト上に掲載したり、ゲームアプリとして配信したりすることで、多くの人に遊ばれ、橙光遊戯に広告費が落ち、制作者にも分配されるシステムができていたのだ。
女性が8割!? 中国のビジュアルノベル市場
その利用者の実態だが、「GoogleTrend」のような百度の分析ツール「百度指数」を見ると、年齢別では、20歳未満が半数程度で20代が3割程度、残りの2割がそれ以上。そして男女比ではなんと女性の割合が8割以上と非常に高いのだ。
そういえば、イケメン男性が出るゲームがやたら多い。中国のビジュアルノベルは、若い女性が支えているのかもしれない。
「弟切草」「かまいたちの夜」などのチュンソフトの作品や、「雫」「To Heart」などのLeafの作品などでポジションを得た日本発祥のサウンドノベルが、中国では中国人に好まれるシステムに昇華されて多くの作品が生み出されている。
ネット小説のように、無数のビジュアルノベルの競争の中から名作が生まれ、やがて映画化され、ライターが一躍ネットの著名人となる。そんな近未来も中国ならばありうる話だ。
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