レノボ・ジャパンは1月19日、ThinkPadおよびThink製品の新機種を国内発表した。米国のCESで全世界向けに発表された製品を含んでいるが、注目の“ThinkPad X1”シリーズについては、発売が遅いこともあり、発表を控えている。
発表となったのは以下の11製品。ほかに個人向けで投入しているYOGAシリーズをアレンジし、企業向けにアレンジした製品も紹介した。Horizonシリーズの後継となる「YOGA Home 900」「YOGA Tab 3 8/10」の企業向けモデルなどが該当する。
●ノート(ThinkPad)
ThinkPad T460s(14型、1月19日販売開始、税別15万2000円から)
ThinkPad X260(1月19日販売開始、税別12万7500円から)
ThinkPad L560(1月19日販売開始、税別11万2000円から)
ThinkPad L460(1月19日販売開始、税別11万円前後から)
●デスクトップ(ThinkCentre)
ThinkCentre M700 Tiny(1月下旬販売開始、税別6万9000円から)
ThinkCentre M700 Small(1月下旬販売開始、税別8万4000円から)
ThinkCentre M700z All-In-One(1月下旬販売開始、税別10万2500円から)
●ワークステーション
ThinkPad P40 Yoga(1月19日販売開始、税別22万円から)
ThinkPad P50s(1月19日販売開始、税別20万3000円から)
ThinkStation P310 SFF(1月19日販売開始、税別13万1000円から)
ThinkStation P310 Tower(1月19日販売開始、税別13万2000円から)
メインストリームのThinkPadをまず先に刷新
ThinkPadシリーズはこれまでモバイル性の高い12型サイズ(ThinkPad X200シリーズ)の割合が高かったが、今後は薄型で大画面の14型モデルにより一層注力していく。液晶サイズとしてはThinkPad X260とThinkPad Yoga 260が12.5型、ThinkPad T460sが14型となっており、画面サイズに複数の選択肢を提供しつつ、重量は1.3kg程度に集約している。
「もっと軽いのという声はあるが」(コマーシャル製品事業部Think製品プラットフォームグループ 部長の大谷光義氏)としつつも、ThinkPadのベースとなる堅牢性や使いやすさ、拡張性を持ちつつ、利用者が求める「大画面」「タッチやペンへの対応」「薄型化」などにこたえつつ、IT管理者が求める「セキュリティ」「新旧ポートのサポート」「管理のしやすさ」「予算とのバランス」などを確保するとこの辺りがベストバランスになるとレノボでは考えているようだ。
一連の製品の中で注目している製品は「ThinkPad T460s」だ。従来のT450sに対して10%の薄型化と15%の軽量化を果たしており、ディスクリートGPUの搭載やEthernet端子、3系統のUSB 3.0といった十分な拡張性・周辺機能を持つ。重量は約1.32kgからとなっており、サイズ感的には2012年に登場した初代のThinkPad X1 Carbon並み(若干薄く軽い)ものとなっている。ThinkPad X1 Carbon自体はさらに薄く軽くなっているが、拡張性やPCとしての基本スペックはその分制限されるので、ThinkPad X1 Carbonの操作感・携帯性に満足していてさらにスペックアップしたいという層には魅力的な選択肢に見える。
またFHD(1920×1080ドット)の機種ではタッチパッド対応モデルを用意しているが、表面処理はアンチグレア処理としている点も珍しい。実際に使用してみると反射による見にくさが少ない一方で、指紋なども目立ちにくくビジネスユースでは利点が多いように感じる。
デスクトップのThinkCentre TinyはM900、M600に加えて、M700を投入。CPUを第6世代Core iとしつつ900シリーズとの違いとしては、主にvProに対応しない点となる。TinyについてはチップセットがM900のQ170に対してB150になるがほかはほぼ共通。一体型のAll in Oneについては上位のM800zやM900zよりも小さな20型の液晶としており、スタンド機構が若干異なる。
企業向けにはよりソリューションを前に出した展開を
ワークステーションについては、モバイルでは昨年のThinkPad P50/P70に続きThinkPad P40 YogaとThinkPad P50sを投入。デスクトップについてもP310 SFF、P310 Towerの2種類を用意している。Quadro M500Mを搭載できるP40 Yogaはタッチと2048段階の筆圧感知ペンに対応したタッチパネルを装備することで、デスクトップとペンタブレットという2ピース必要だったものを1台にまとめられ、かつ携帯も可能になる。
このほかHorizonと呼ばれていた大画面のWindowsタブレットが「YOGA Home 900」(税別23万円から)と「YOGA Home 500」(税別15万9800円から)に改称。さらにYOGA Home 900は企業向けの製品としてもリリース。パイオニアVCの「バイシンク プロ スキーダ」(xSync Pro SCHEDA)と呼ばれるソフトなどと組み合わせたソリューションとして提案する。タッチ操作で拡大縮小したり、自由に回転ができるカードのようなコンテンツをデスクトップ上に並べて、コラボレーションすることが可能。複数名で画面を囲むように使い、ペンで適時情報を書き込んだり、比較や校正ができる。
また、Andoroid搭載のYOGA Tab 3については、SOTIの「MobiControl」と組み合わせたMDM(Mobile Device Management)システムと組み合わせて提供していく。
充実したオプション、そして企業での提案も豊富に
一方レノボではパートナー連携し、純正の豊富なアクセサリーとサードパーティーの周辺機器やソフトウェアなどを組み合わせた提案に対して積極的だ。その一例として、企業内コミュニケーション(主に会議)を例にとったITの課題の解決が紹介された。
企業において、労働時間に会議が占める時間は大きい。一般的な1時間の会議でも8時間の定時の中に組み込むと1割を超える時間を占有する。さらに会議室が埋まっているなどの理由でMTGできず意思決定が遅れることもある。また、会議そのものの効率を上げていくことも重要だ。その中で紹介したのが、WiDiやMiracastなどに対応した周辺機器を活用して、ケーブルのつなぎ替えで生じる時間のロスを減らそうという提案。無線ディスプレーで複数のパソコンの画面を手軽に共有できるようにすることで、時間ロスや会話の流れが止まることを減らす。
また共有スペースの利用や、執務スペース内でのコミュニケーション促進など会議室を使用しない方法についても提案。YOGA Home 900を使った机を囲んでのディスカッションや、自席に置いてあるパソコンの位置を自由に上下できる「WorkFit-T」のような什器を利用することで、必要に応じて立ったままPCを操作できる環境を作り、隣席の同僚とのコミュニケーションを活性化できるとした。