パナソニックが、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された環境展示会「エコプロダクツ2015」で、純水素燃料電池および車載用電池などの同社エネルギー製品を展示した。
2011年には、電機大手8社が出展していたエコプロダクツ展だが、今年はパナソニックと三菱電機だけが出展。電機大手が相次いで出展を取りやめるなか、パナソニックが出展を続けていることは、事業活動と環境を結びつけた取り組みを行っているパナソニックの姿勢を改めて強調するものになったといえよう。
パナソニック 環境・品質センター環境・品質渉外室の名倉誠室長は、「昨今では、政府間の駆け引き材料や、国際競争の条件のようにして環境が取り上げられているが、本質はサスティナブルな成長のために解決すべき不可避な社会問題であること、そして、それをいかに事業として一体化させて進めるかが課題である。パナソニックは、事業活動を通じて環境問題の改善を進めるとともに、社会の人々から共感を得て、環境への取り組みを拡大したいと考えている。今だからこそ、パナソニックが目指す姿や考え方の提示が必要であり、今回の展示にはそれを盛り込んだ。パナソニックによる環境視点での『A Better Life, A Better World』の実現につながると考えている」とする。
ハイライト展示は車載事業に焦点
今年の展示では、コンセプト展示として、同社のブランドスローガンである「A Better Life, A Better World」をテーマにした「Wonder絵巻」を環境バージョンとして展示。家や街、クルマなどの様々な空間への価値提供を目指すパナソニックの事業の姿を訴求するという。
また、ハイライト展示では、同社が成長事業のひとつに位置づける車載事業の観点から、車載用リチウムイオン電池を展示。車載事業を環境の観点から訴求するとともに、エコカー用の車載電池の特徴や用途の広がりを発信するという。
「18650による円筒型電池と、角型車載用リチウムイオン電池を使って、クルマの造形を制作。照明演出などにより、車載分野におけるパナソニックの環境への取り組みと貢献を、来場者に理解してもらいやすい展示を行う」(パナソニック 環境・品質センター環境・品質渉外室の下野隆二主幹)という。
さらに、家電、住宅、先進技術、資源循環などのテーマ別展示も実施した。
パソナニックブースでは、毎年、先端技術コーナーを用意。一昨年の人工光合成技術、昨年の光触媒浄化技術といったように、毎回、展示内容が注目を集めているが、今年は、2020年以降に向けて同社が取り組んでいる純水素燃料電池を参考展示した。
ここでは、2020年の製品化を予定しているモノジェネタイプおよびコジェネタイプの純水素型燃料電池の展示や、初公開となる業務用純水素燃料電池を参考展示する一方、2030年に訪れる水素社会をジオラマで表現。街全体での水素を活用するイメージを提案する。また、水素ステーションの設置などには不可欠となる流量計や水素炎センサーなどの安心・安全技術をパナソニックが提供していることも示す。さらに、2015型の燃料電池製品のスケルトンモデルも展示する予定だ。
パナソニックでは、エネファームの製品化において、水素技術のノウハウを蓄積。これを利用して、純水素型燃料電池の開発に着手。さらに高密度貯蔵技術の活用によって、貯蔵に向けた技術開発にも取り組んでいる。
政府でも、2020年代半ば以降に、水素発電の本格導入に向けて大規模な水素供給システムを確立することを目指しており、将来の水素インフラ実現に、パナソニックが大きく貢献していくことを強調する考えだ。
ZERO・ECOハウスの実現を目指す
また、住宅および家電コーナーでは、エネルギー収支ゼロを超える家を目指す「ZERO・ECOハウス」を切り口に、太陽光発電と蓄電システムによる「創る」、家まるごと断熱やエコナビ搭載機器などによる「活かす」に加えて、スマートHEMSやプライベート・ビエラを活用して、家電の遠隔操作や自動制御、見える化を行う「かしこく使う」という3つの観点からエコへの取り組みを訴求。
資源循環では、先頃、一般社団法人産業環境管理協会が主催する平成27年度資源循環技術・システム表彰において、経済産業大臣賞を受賞した「使用済み家電品廃棄混合樹脂からの樹脂循環リサイクル技術」を展示。近赤外線選別方法により、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)の3種類の樹脂を99%以上という選別純度を実現するという。
そのほか、「ふだんプレミアム」で展開する付加価値家電や、ソーラーカーレースで上位入賞を果たしているパナソニックのHIT太陽電池、2018年までに累計10万台を寄贈するプロジェクトを推進しているソーラーランタンなども展示した。