東京大学大学院理学系研究科は12月5日、115億光年の彼方に爆発的な勢いで星形成を行なっている巨大銀河があることを発表した。
これはアルマ望遠鏡(国立天文台や東アジア、米・欧州が共同で運営しているチリの電波望遠鏡)による観測結果を解析した研究。みずがめ座のSSA22と呼ばれる領域には、若い銀河の大集団があることが知られている。これらはフィラメント状の立体構造となっており、宇宙初期の大規模な宇宙構造「原始グレートウォール」だと考えられている。
研究チームは電波望遠鏡を用いた高精細な調査を行ない、原始グレートウォール内部に巨大なモンスター銀河を9個発見した。モンスター銀河は天の川銀河(太陽系がある銀河系)の数100~数1000倍もの勢いで恒星を生成し、宇宙初期における激しい活動を示す。しかし観測できる宇宙においては非常に稀な存在で、今回のように狭い領域で見つかるさらに珍しい。
モンスター銀河は原始グレートウォールのフィラメントの交わる部分に密集しており、ここは通常物質に加えてダークマターの密度も高いと考えられる。このような場所で多くのモンスター銀河が発見された事実は、宇宙初期における銀河の成長過程を示す現在の銀河形成理論の裏付ける証拠となるという。