トワイライトニコニコで超簡単IoT
東京コスモス電気が製造し、モノワイヤレスが販売サポートするIoT無線タグ「TWE-Lite-2525A(トワイライトニコニコ。以下ニコニコ)」は、ZigBeeという無線規格に準拠している。使用する周波数帯はWi-FiやBluetoothと同じ2.4GHzだ。知名度や普及度ではそれらに劣るZigBeeを使うメリットは、省電力制御や多デバイス環境での使いやすさにあった。「あった」と過去形なのは、BLEの登場やWi-Fi、3Gの低コスト化により、比較が難しくなってきたため。ここでニコニコを選んだのもZigBee準拠だからというより、TWE-Liteシリーズとニコニコ固有の特徴に期待してのことである。
「アイデアはあるんだけど、工作してプロトタイプを作るのは不慣れです」という読者にもニコニコをおすすめする理由をまとめると、次のとおり。
- 入手が容易(国内の取り扱い店が多く、秋葉原や日本橋でもすぐ見つかる)※取り扱い店リストはこちら
- オールインワン設計(通信部だけでなくセンサーと電池ホルダーが一体になっているのですぐ使える)
- 軽くて小さい
- 電池が持つ(省電力モードなら1年以上)
- 電波がよく飛ぶ(見通し約1km)
- アプリケーションソフトウェアが充実
- ツール、ドキュメント類が日本語
もともとHEMS分野で使われることを想定して開発されたTWE-Liteシリーズは、初心者のプロトタイピングだけでなく経験豊富な開発者のビルディング・ブロックとしても活用されている。より専門的な解説が必要な場合は、モノワイヤレスのHEMSに関するドキュメントを参照してほしい。
加速度センサーのデータを見てみよう
物体の動きを検知して写真を撮る仕組みを作ってみよう。センサーをドアに取り付ければ、その開け閉めに反応するドアカメラとなる。作例としてはありふれているが、IoTの基本的な技術要素が一通り含まれている。これからコンテスト応募作品のプロトタイピングを始める人の参考になるのではなかろうか。
ニコニコには加速度センサーが内蔵されていて、部品を追加することなくファームウェアの設定変更だけでデータをほかのPCやスマホへ送信できる。
ただ、設定は少しややこしいと感じるかもしれない。TWE-Lite-2525A単体での設定変更はできないので、シリアル通信モジュールの「TWE-Lite R(トワイライター)」 か「ToCoStick(トコスティック)」が必要だ。両方あると確実だが、どちらかひとつを買うとしたらトコスティックがお勧め。この記事でも、ニコニコが送信するデータをUSB端子に挿したトコスティックで受信しながら、動作チェックやプロトタイピングを進めていく。
ニコニコの設定をOTAで変更し、Androidスマホに専用アプリをインストールして動作チェックしてみよう。
以下に手順の概略を示す。より詳しい操作方法はモノワイヤレスのサイト内にあるOTA設定に関するページと、ニコニコ用Androidアプリのページを参照してほしい。
◆動作チェックの手順
- ニコニコ用の最新ファームウェア一式をダウンロード
- 「TWE-Lite専用プログラマ」をダウンロード
- 2を使って1に含まれるトコスティック用OTAファームウェアをトコスティックに書き込む
- PC上のターミナルプログラム(「Tera Term」や「cu」など)を使ってトコスティックに接続し、Androidアプリのページに従ってOTA設定を行なう(この時点ではニコニコの電池を抜いておく)
- 設定対象のニコニコをトコスティックに近づけて、おもむろに電池を入れるとOTA設定が行なわれる
- 2を使って1に含まれる「親機アプリ」をトコスティックに書き込む
- Androidアプリのページに従ってトコスティックの設定を行なう
- Androidスマホに専用アプリ「TWE G-Monitor」をインストール。※ダウンロードはGoogle Playから
- USB OTG用のケーブルを使ってトコスティックをスマホに接続
- TWE G-Monitorを起動し、画面の指示に従う
ちなみにTWE G-Monitorを使うには、USBホストに対応しているAndroid端末が必要だ。上記の10ステップにより、スマホの画面には次のような加速度変化のグラフが表示される。
シリアルポート越しの設定作業は慣れるまで煩雑に感じるかもしれないが、加速度センサーのデータをここまで手軽に無線通信で取得し可視化できてしまうのは、ニコニコならではの魅力といえる。Androidアプリを作って応募したい人はTWE G-Monitorの代わりに独自のアプリを作ってみるのもいいだろう。
ここでは、スマホはテストだけに使い、この先はRaspberry Pi(ラズベリーパイ。以下ラズパイ)を使用する。ラズパイにトコスティックを接続し、ニコニコが検知した「動き」をトリガーに撮影を行うアプリを作ってみよう。