日本ヒューレット・パッカードは10月28日、オープンソースの商用版クラウドプラットフォーム「HP Helion OpenStack 2.0」を発表した。同日から世界各国で提供開始している。
新版は、OpenStack Kiloベースで開発された。ライフサイクル管理とセキュリティに関する課題に対応するための新しい機能を追加し、エンタープライズグレードのクラウドプラットフォームを提供する。
具体的には、シンプルな導入を実現。Webからのインストールを可能にし、可用性に影響を及ぼさずに拡張性を確保するための容易なプロビジョニングを可能にした。運用もシンプル化され、ダウンタイムなしでクラウド環境全体のソフトをアップグレードできるローリングアップグレード機能や、アプリの利用を中断することなくパッチを適用できる継続的なパッチ管理機能を実装した。
また、導入にあたっては「既存の管理ツールに統合できる。ハードウェアもHP製、他社製の双方に実装可能」(HP Chief Marketing Office, Cloudのボビー・パトリック氏)と、投資の保護についても強調した。既存IT環境との連携を容易にするためにネットワーク設定の柔軟性も強化している。
そのほか、OpenStack APIを厳格に順守し、クラウド間の互換性を確保。サードパーティ製プラグインを活用する機能も備え、エコシステムを重視した。
HP Helion OpenStack 2.0では、経験を積んだ技術者を派遣し、顧客のクラウド戦略を支援する「HP Helion Professional Services」も提供される。HP Helion OpenStack 2.0上でテスト・認証された他社ソフトウェアおよびハードウェアと顧客を結ぶ橋渡しにもなるという。
HPは、法人向け事業のHewlett-Packard Enterprise(HPE)と、PC/プリンタ事業のHP Inc.に分社する。クラウド担当CMOのボビー・パトリック氏は「HPEとして何をするか。今後はハイブリッド・インフラへの変革(Transform)、デジタル時代の企業の保護(Protect)、データ志向型組織への支援(Empower)、オフィスの生産性向上(Enable)の4本を進める。HP Helionはそのうちハイブリッド・インフラへの変革を支援するものだ。従来のアプリをプライベートクラウドに移行するところから、複数のクラウドサービスを柔軟に連携させ、最終的にはクラウドネイティブアプリのための機能拡張を提供し、ハイブリッド化を支援する」と、HP Helion OpenStack 2.0の方向性を示した。