パワーも増して外観も高級化
TW-S9は、USB3.0 2.0も同様のバスパワーにも対応し、25W(12.5W+12.5W)とアンプの出力も増している。これはUSB2.0までの500mAから900mAに強化されたことを受けたもので、同時にバスパワーで供給される電流を自動判別するACDCS(Automatic Current Detection Conversion System)という回路も積んでいる。USB2.0の場合は、従来通りの20W(10W+10W)となる。
メインユニットは従来と同じ60mm径のフルレンジユニットだが、これに25mm径のドーム型のツイーターを追加して、高域側のレンジを広げている。ツイーターはメインユニットの前面同軸上に配置され、マルチユニット化で音像のズレが生じることを避けているのもポイント。特に近接したポジションで聴くことの多いPC用のスピーカーでは、これは大事なことだろう。
外観はハイレゾ対応にふさわしいように(?)若干の高級化を果たしている。従来はプラスチックの素材色だったエンクロージャーは、塗装となった。これは経時変化による退色を防ぐためという。チタニウムグレー、パールホワイトの2色が選べる。従来は素通しだったユニット開口部は、メッシュグリルで覆われるようになった。
エンクロージャーの台座は、シリコンインシュレーターから、TW-S5同様の固定式台座になった。自由に角度調整ができて、防振効果もあったシリコンインシュレーターは個人的に気に入っていたのだが、多くのユーザーは固定式を望んだそうである。
一番の大きな変更は、USB端子と音声入力端子が付き、左右スピーカー接続用のミニジャックが追加されたことだろう。TW-S7/S5までは、USBケーブルと左右スピーカーの接続ケーブルは本体から出ていて、そのままPCやスピーカー同士を接続するだけで使えた。それが端子付きとなることで、いくつか従来になかった使い方ができるようになった。
実はモバイルバッテリーでも使える
実は、TW-S9の魅力は、本体にUSB端子を設けた点、外部入力に対応した点、ボリュームノブが付いた点で、応用範囲が広がったことではないかと思う。USB端子に電源を供給すれば、TW-S9は動作する。このおかげで、TW-S9はモバイルバッテリーやUSB仕様のACアダプターでも使えるのだ。この場合、音声信号はスマートフォンなどのヘッドフォン出力を、TW-S9の音声入力端子に接続すればいい。
もちろんUSBバスパワーを給電するすべてのデバイスで動作するかどうかは保証の限りではないが、手持ちのモバイルバッテリー(PanasonicのQE-PL203、多摩電子工業のTL230K)で動作するのは確認している。
バッテリーならばモバイル環境でも使えるし、DSDや192kHz対応のオーディオインターフェースをPCに接続し、そのヘッドフォン出力をTW-S9に入れるという使い方もできる。こうすればアナログ入力で50kHzまで再生可能なスピーカーの能力も活かせる。
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