4000億円の大台を目指す、ライティング事業
現在、パナソニックのライティング事業の売上高は3177億円、同社エコソリューションズ事業の19%を占めるが、これを、2018年度には4000億円へと拡大させる計画だ。
現在、照明全体では5%のシェアを獲得。フィリップス、オスラムに次いで、世界第3位となる。そのうち、ランプでは4%のシェアで世界4位、器具・デバイスでも4%のシェアとなり、世界2位となる。
アタッチメントプラグが創業製品であるパナソニックにとって、ライティング事業は創業時からの事業。いまでも同社のブランドを代表する事業のひとつである。国内では圧倒的なトップシェアを持っているが、今後は海外市場の成長を目指すことになる。
パナソニックが照明事業に参入したのは、1936年に、ナショナル電球として、発売した白熱電球に遡る。2012年10月には、白熱電球の生産は終了しているが、蛍光灯やLED事業を継続。現在に至っている。
パナソニックのライティング事業の海外売上比率は23%。そのうち、欧州、CISが27%、米国が31%を占め、そのほかをアジアや中国などが占める。
同社のライティング事業の特徴は、欧米ではデバイスを中心に事業展開しているのに対して、アジアは器具を中心にビジネスを展開している点だ。
たとえば、中国、アジアではPanasonicブランドで展開する一方、欧州では、2002年に買収したフォスロ・シュワーベ グループの基盤を活用し、パナソニックブランドによる最終製品としての照明製品は販売せず、従来光源を「VS(VOSSLOH SCHWABE)」のブランドロゴで、LED光源モジュールは、「LIGHTNG SOLUTIONS」のブランドロゴで展開しており、それらを、最終製品を投入する器具メーカー、照明メーカーへと提供する仕組みだ。
また、トルコではViKO、インドではANCHOR、米国ではUniversalのブランドでそれぞれ展開している。これらも買収した企業のブランドをそのまま展開している。
「それぞれの市場で求められる製品が異なっており、それぞれの市場にあわせた展開を行っている」(パナソニックライティングヨーロッパ・水澤節雄CEO)というのが、パナソニックのライティング事業の基本姿勢だ。
ライティング事業の成長戦略の一翼を担うのが、欧州市場だ。 欧州市場における2014年度のライティング事業の売上高は約300億円。ドイツやフランス、イタリアなどに7つの開発、製造拠点を持ち、そこから、欧州、CIS、アフリカ、中東、アジア、南米、オーストラリアなど35カ国に販売。2012年度には15%だったLEDの比率を、2014年度には35%に拡大。2018年度にはこれを60%にまで拡大させ、売上高も約360億円に成長させる。
2015年10月からは、フォスロの傘下に、アジア事業部を新設する。中国、香港、韓国、タイ、オーストラリア、ニュージーランドなどにもモジュールの販売を行う考えで、商品開発も現地化していくという。
同社では、従来光源デバイスからLEDデバイスへのシフト、ソリューシュン提案型デバイスビジネスへの拡大、照明制御システムの強化を展開。ソリューションでは、店舗・オフィス向けLED照明モジュール、屋内施設向け照明制御システム、屋外・産業用照明制御システムといった分野に取り組む。
「欧州では、フィリップスやオスラムなどの大手照明メーカーがランプ事業を中心に、照明市場をリードしている。また、中小照明器具メーカーが多数存在しているという状況もある。トップ3をあわせても、市場全体の20%未満の構成比。また欧州市場といっても、一口で語ることができず、それぞれの国において、長年の歴史を持つがあり、各国でシェアを持ち、独自の販路を持っている。パナソニックが、そこに参入するには厳しい。差別化ができるデバイス、モジュール、そして照明制御を持つフォスロの買収により、欧州で現地開発した照明デバイスをグローバルに事業展開することで、照明制御を含む、ソリューション提案事業へと拡大。スマートライティング分野におけるグローバルリーダーを目指す」(パナソニックライティングヨーロッパ・水澤節雄CEO)とした。