ノイキャンヘッドフォンの音は低音寄り?
最新モデルだと音のバランスもいい感じ
音質についての違和感についてもうひとつ挙げると、音のバランスが低音寄りになりがちという問題がある。これは特に不快に感じるノイズが低周波主体であるため。低周波のノイズをキャンセルするには、ヘッドホンやイヤフォンも低周波の再生能力が求められる。
1つのユニットで広い帯域をカバーするのは難しいので、どちらかというと低音寄りのバランスにならざるを得なかったわけだ。
これについても、最近は重低音再生が可能なモデルが人気で、ハイレゾ音源の普及で高域再生の能力を高める必要があるため、ドライバーユニット自体の性能も大幅に向上した。
ヘッドホンやイヤフォンでも複数のユニットを組み合わせたものや、フルレンジでも広帯域を実現したドライバーが登場し、音質的なバランスの悪さはほぼ解消されている。
集音マイクを2つ搭載することで
ノイキャン性能が大幅に向上
もうひとつの進化が、周囲の雑音を拾うマイクを2つにした方式を採用したモデルが増えてきたこと。一般にハウジングの外側にマイクを備えたものを「フィードフォワード」方式、耳に入って来てしまった騒音を拾うためにハウジングの内側にマイクを備えるのを「フィードバック」方式と呼ぶ。
もちろん、メーカーによってこれらのマイクから拾った雑音をどのように処理するかなど、それぞれに違いはあるが、マイクを2つにしたデュアル方式によって、ノイズキャンセルの効果はさらに向上してきている。
最新モデルでは、ノイズキャンセルの効果が高すぎて屋外で使うには危険な場合もあるため、人の声や警笛といった危険を察知するために重要な音(人間の耳の感度が高い中音域)はあえてキャンセルしないようにしているくらいだ。
実際、各社のノイズキャンセルモデルの最新製品を試すと、騒音が消える効果の向上だけでなく、音質も自然で違和感のないものになっていて驚く。
オンとオフとの音質差は多少はあるが(アンプ経由のアクティブ再生と電源不要のパッシブ再生になるのだから当然音質は変化する)、オフのときよりもオンの方が音質的なバランスが優れていると感じることが多い。これは、ノイズキャンセルだけでなくアンプの音質チューニングも含めて熟成度が高まったためだろう。
前置きが長くなったが、次ページからはいよいよ最新の技術が投入された最新のノイズキャンセルヘッドホン/イヤフォンを紹介していこう。
(次ページに続く、「デュアルノイズセンサーテクノロジーでノイズ低減効果を向上! ソニー「MDR-EX750NA」」)
この連載の記事
-
第2回
AV
7万円の高級ウォークマン「ZX100」の音質はココが違う! -
第1回
AV
約3万円でハイレゾ&ノイキャン! 新ウォークマンAをしゃぶり尽くす -
AV
新ウォークマン大特集! ソニーのノイズキャンセルはハイレゾ時代に突入 - この連載の一覧へ