現代の技術で蘇る、ダイレクトドライブのプレーヤー
Technicsブランド設計のキーマン井谷氏に、ターンテーブルへの思いを聞く
2015年09月21日 15時00分更新
”Technics”のオールインワンオーディオ”OTTAVA”
IFA 2015の会場では、テクニクスの新製品3モデルも発表された。
まず、IFA 2015の会場では象徴的な円形の空間の中心に置いて披露されたオールインワン型オーディオシステム”OTTAVA”「SC-C50」だ。
「”Technics”ブランドディレクターの小川の思いの強いモデルで、特に女性目線、リビングの雰囲気を乱さずにいい音で聴け、音が部屋中に広がるオーディオとして開発した」(井谷氏)というモデル。ずばり「自分の大切なものが入っている宝石箱をイメージしているのだという」
最大の魅力はデザイン。透明のアクリルカバーに覆われたトップローディングのCD機構が目を引く。もちろんハイレゾ対応のネットワークプレーヤー(DLNA再生機能)やUSB DAC機能も装備。これに昨年発売のテクニクスの製品群で採用したフルデジタルアンプ”JENO Engine”も含めて、一体化したオールインワン設計のモデルだ。
付属のスピーカーは2ウェイ設計で、部屋全体を音楽で満たすため、3つのツィーターで水平270°の広い範囲をカバーする「広指向性トゥイーター」に加え、低音増強用に用意した独自の”スパイラルチューブ”、上下に向いた2対のユニットを背面対向で配置したダブルウーファーを搭載。コンパクトながら、かなり凝った作りのスピーカーとなる。
さらにこれをBTL接続した4つのアンプで、バイアンプ駆動するという設計だ。センターユニットは上位機同様、フルデジタルアンプを搭載。スピーカー側にネットワーク回路は搭載しておらず、デジタル処理で高域と低域の信号を分け(チャンネルデバイドし)、高域用・低域用それぞれのアンプに送る仕組みになっている。LAPC(Load Adaptive Phase Calibration)と呼ばれる補正技術も使用可能。これはテストトーンを鳴らして計測したデータをもとに、最適な位相や周波数特性を得る補正技術。周波数帯域によって変動するスピーカーのインピーダンスも考慮した補正ができる点が特徴となる。
アンプ一体型オーディプレイヤーの「SU-G30」
”Technics”ブランドとして昨年発表の”R1"シリーズと”C700”の間を埋めるラインとなるのが新登場の”Grand”シリーズだ。
「SU-G30」はアンプ一体型のネットワークプレイヤーとも呼ぶべき製品で、43㎝幅の筐体を採用。ハイエンドと同じく、フルデジタルアンプの”JENO Engine”やスピーカーに音を最適化する”LAPC”といった技術も投入。USB端子はA端子に加え、B端子も持ち、B端子への接続でUSB DACとして機能する。Wi-Fi経由でのDLNA再生機能まで持っている。
日本でのリリースは来年以降になるとのことだ。おそらく40万円程度になるのではないかとのこと。
CDリッピング対応のミュージックサーバー「ST-G30」
新機軸の商品として登場する「ST-G30」は、CDリッピングに対応したミュージックサーバーだ。SSDを内蔵して単体でCDリッピングを行い、DLNAのネットワークを通して共有するという今までにないコンセプトのモデル。CDはリッピングのみで再生には対応しない。
ハイエンドのオーディオ用のCDリッピング機能として、同社のプレミアムDIGAシリーズで採用してきた振動を抑えるドライブシェルターを搭載。CDリッピング時にはクラウド上のCDデータのハッシュタグと照合して合致しない場合にはリトライするような機構も搭載される。
SSDドライブの容量は現在は未定だが、背面のスロットから交換できるようにすることを検討中とのことだ。
新生”Technics”初のヘッドフォン「EAH-T700」
Technicsブランドとして投入される”ハイレゾ”対応のヘッドフォン。元々はテクニクスとは別のヘッドフォンチームが開発していた「RP-HD10」のハイクオリティ版とも呼べるモデルで、2ウェイのドライバーを内蔵し100kHzの帯域に対応したハイレゾ帯域までの再生に対応する。
今回はアナログプレイヤーの開発発表に湧いた”Technics”ブランドだが、もちろん現行のHiFiオーディオのラインナップも”ハイレゾ”対応の最先端の技術を投入したモデルの投入が続く。
ブランド生誕50周年の年に、”Technics”の更なる飛躍に期待したい。
