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情報の取り扱い説明書 2015年版 第10回

われわれに取り巻く情報の性質を考察してみる

ドローンやウェアラブル、Netflixから見る情報のもどかしさ

2015年09月04日 10時00分更新

文● 高橋幸治、編集●ASCII.jp

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人間が接触する情報のパターンは4点

 そこで今回は人間と情報との関係にまつわる、直近の問題を考察していくための事前準備として、われわれの身近に存在する情報の種類を整理してみたいと思う。

 ひとまず、大多数の人々と情報(特にデジタル情報)との今日的な関係を大雑把に分類してみると、おそらく以下の4パターンに収斂されるのではないか?

ダウンロードする情報
1 自発的/選択的に任意の情報を自分が取得する
2 ひょんなことから目的以外の情報にうっかり接触してしまう
アップロードする情報
3 どんなにささいなものであれ、自律的に情報を公開/投稿する
4 ほぼ無意識のうちにデジタル機器から情報が吸い上げられる

 いまのわれわれはこの1~4が抜き差しがたく絡み合った情報環境の中に生きている。

 本連載の初期では主に、自発的に取得した情報の中に、目的以外のものがノイズとして急増しているという議論の端緒に、個人の情報公開が加速している以上、純粋に望んだ情報の取得だけを遂行することはほぼ不可能であると述べた。

 いくらTwitterのタイムラインが厳選されたフォロワーだけだとしても、すべての情報が必要や目的にかなったものであることはあり得ない。だからといって、第三者の意見や見解に不当な制限や抑圧を加えるなどということもできない。なぜなら、自分の発言や投稿も、誰かにとっては不愉快なノイズであるからだ。

 しかも、人間と情報との関係は「効率性」や「合理性」だけでは硬直や停滞を招きやすい。したがって、うっかり接触した情報を「セレンディピティー」(情報との偶然の出会いが思わぬ好結果を生みだすこと)として肯定的にとらえる視点も提示した。情報の入力にまつわる調整弁のコントロールは常に自分の判断で行なうしかなく、その基準は自分というメディアの「編集方針」にほかならない。

新たな情報への意識がコンテンツ産業の常識を覆す

 ところがノイズである2の代表格たる「広告」について言えば、徐々にこれを排除する方向性も出現し始めている。「無料で利用できるのであれば広告が入るのは仕方ない」というコンテンツ産業の常識が、「広告を見なくて済むのであれば有料でもよい」という消費者の志向や意識の出現によって揺らいでいることも事実だ。

 9月1日から日本でもサービスが開始された北米最大の動画ストリーミングサービス「Netflix」は、ユーザーから月額視聴料を徴収する代わりに広告が一切表示されない。Netflixのライバルであり国内では先行してローンチしている「Hulu」も広告なしのメニューを準備しているという。

 過剰な「情報の提供」ではなく、適度な「情報の遮断」が新しいビジネスを誘発していくことはほぼ間違いないだろう。

日本でもサービスを開始した動画ストリーミングサービス「Netflix」。会員数は世界50ヵ国以上で6500万人以上。国内の各テレビメーカーも、今秋発売以降のテレビのリモコンにはNetflixボタンを搭載する予定

(次ページでは、「アップロードもダウンロードも良し悪しが付いて回る

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