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各種電子機器から量子デバイスまで様々な応用が考えられている夢の新素材に商業化の道

革新的新素材グラフェンの大量製造手法が開発される

2015年08月12日 16時34分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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開発されたグラフェン製造方法 

 東京大学や理化学研究所、東京工業大学などは8月10日、炭素原子シート「グラフェン」を手軽に大量生産できる手法を開発したと発表した。

 炭素原子が平面状に繋がったグラフェンは、導電性や機械的強度、熱伝導度など特異な性質を持つことから、生化学から電子デバイス、建築素材や量子力学まであらゆる方面で活用が研究されてる。しかしグラフェン発見から10年以上経つにもかかわらず、高品質なグラフェンを大量生産する手段がなかった。

グラファイトからの分離には有機合成化学の手法を利用。研究グループではこれまでにイオン液体を用いてカーボンナノチューブの分離を行っている 

 開発された手法は、新たに合成したイオン液体(プラスとマイナスのイオンを含みながらも液体として振る舞う物質)にグラフェンの積層体である天然グラファイトを入れ、マイクロ波を30分照射すればグラファイトから一層ずつはがれてグラフェンとなるというもの。得られるグラフェンの純度、収率、単層グラフェンの選択性は非常に高い。

 これまで、研究室レベルではスコッチテープを使ってグラフェンからはがすといった方法があったが到底商業利用はできない規模であり、また超音波を使ってグラフェンを分解する手法なども研究が進められていた。今回の製造手法は品質も処理時間も商業的に利用可能なものであり、これまで研究室にとどまっていたグラフェンに商業利用の道を開くものとして注目される。

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