Netflixボタンが搭載されるまで
—— 日本だとNetflixボタンのついたテレビが流通しはじめましたが、サービス開始時点でこうなっていると、色々と有利ですよね。
「そうなんです。おそらく、これだけNetflixボタンが付いた状態の製品が出回った状態でサービスをスタートするのは、Netflix史上初です。始まった日にこのボタンを押していただくだけでいいので、すごくいいと思います」
—— これ、搭載にあたってメーカーさんとの協議に苦労したのでは?
「はい。『そんなのあり得ない!』と言われることもありました。でも、人によっては『おもしろいですね』と言ってくれましたよ。それでも長い時間をかけてテレビメーカーさんにお願いしたのは、Netflixのボタンがここについているだけで、『色々な苦労を超えてここにこのボタンがついている』とユーザーの皆さんが感じてくれると思ったからです。『このテレビはNetflixが見られるんだ!』ということに気付いてもらえます。
Netflixのボタン付きのテレビはほかの国ではもう展開していて、どのメーカーさんも10年以上の付き合いがあります。そのあいだの我々の成長も見てくれていますから、段々、受け入れてくれたという感じですね」
—— Netflix対応のテレビなら、ボタンを押すだけでNetflixが視聴できますが、そうでないテレビはPS4などを利用する必要がありますよね? たとえばApple TVやChromecastのようなリファレンスデバイスを発売する予定はありますか?
「我々はそれほどいいハードウェアを作れるとは思いません。それよりも、コンテンツの拡充やサービス向上に注力したいんです。デバイスの製造業者さんとは仲良くさせていただいているので、いいアイディアがあれば、その都度色々なかたちで組み来んでもらえます。なので、Apple TVやChoromecast、PS4、Xboxなどをアダプターデバイスとして利用していただければ、という気持ちです」
目標契約数は設定しないのがNetflix流!
—— Netflixはスマートフォンやタブレットから利用できますが、通信容量が気になります。ダウンロード配信をする予定はありませんか?
「我々はダウンロードでの配信はあまり推していなくて、その分、ストリーミング配信の技術面に投資するべきだと考えています。具体的に言うと、より低いビットレートで、より高い視聴体験を届けるための技術です。たとえばいま、スマートフォンだと少ない容量しか使わず、かなりいい画質で見られます。ストリーミングはやはり、その場で見たいものを見られるのがいいですよね」
—— では、生放送サービスを開始する予定はありますか?
「生放送は、やはりテレビ局向きの手法だと思うんです。Netflixがテレビ局の生放送よりも優れた生放送をお届けできるとは思わないので、予定はありません」
—— 徹底してストリーミングの動画配信だからこそ、使い勝手で支持されるのかもしれませんね。それでは、日本では、どのくらいの時期までにどのくらいの契約者数を目指していますか?
「数字でゴールを設置しないのが我々の考え方です。あくまでも『全てのユーザーに最高の視聴体験を届けること』がゴールなので、それを目指せば、ユーザー数はおのずと増えていってくれます。具体的な数字の目標を決めてそこを目指すということはこれまでもしてきませんでした。そういうかたちでNetflixは成長してきたので、日本でもそうしたいと思っています」
