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身に付けるヘルスケアデバイスとしての心磁計のほか、さまざまな用途に利用できそう

液体ヘリウム不要、室温動作で心臓電流の磁場を拾うトンネル磁気抵抗素子

2015年07月24日 18時06分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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心磁場計測がSQUID(上)からTMR素子(下)へと変化することで計測スタイルも変わるかもしれない 

 東北大学およびコニカミノルタは7月23日、液体ヘリウムによる冷却不要で室温動作するトンネル磁気抵抗素子を開発、心臓磁場検出に世界で初めて成功したと発表した。

 心臓が動作するときの電流を検出するには、これまで超伝導量子干渉素子(SQUID)といった装置を用いていた。SQUIDは超低温で動作することから液体ヘリウム冷却を必要とし、装置が大きく高価なものとなり導入施設は限られているほか、センサーを患者に密着でできないため精度向上に限界があった。

3インチ基板に作り込まれたTMR素子アレイ

 トンネル磁気抵抗(TMR)素子はハードディスクのヘッドにも用いられている技術。磁気検出感度自体はSQUIDには及ばないもののセンサーを身体に密着できることから精度の向上が期待でき、またセンサーアレイとして計測することで磁束を拾い出せることから信号源の推定もより容易になるという。

 東北大学大学院工学研究科、大学院医学系研究科およびコニカミノルタの研究グループは、新材料を用いた低ノイズ高出力トンネル磁気抵抗素子の開発に加えて最適化した低ノイズ回路を開発、心臓からの磁場の検出に成功した。TMR素子はSQUIDに比べてダイナミックレンジが広いことを利用し、生体由来の磁気と背景の磁気を区別することができるため、検査の際には特殊なシールドルームも不要という。

計測された心磁図、心電図を一致していてノイズなしに心臓の電流を拾うことに成功している

 心電図測定のようなセンサーを貼り付ける必要もなく、シールドルームが不要なことから診察診療を大幅に簡便化できる可能性がある。研究グループでは、原理的には動きながらの測定も可能としており、診療だけでなく身に付ける心磁計といった新たなヘルスケア装置へ繋がる可能性もあるとしている。

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