東京工業大学の研究グループは7月22日、金属ナノ粒子を原子レベルで精密制御する合成方式を開発して評価したところ、白金の触媒活性は原子19個が最大になることを発表した。
燃料電池をはじめ、白金はさまざまな化学反応の触媒として利用されている。化学物質と接触する表面積を大きくするため粒子を細かくする方向でこれまでさまざまな研究がなされており、少ない物質量で大きな反応(活性)を行なうのは資源の節約、燃料電池などの低コスト化に直接影響する。
東京工業大学の研究グループは、金属ナノ粒子を原子の数レベルで精密制御する新たな合成方法を開発、白金粒子の触媒活性を評価した。その結果、白金原子がひとつ加わるごと触媒活性が不規則に変化するという新たな現象を見出した。
対称性の高い幾何構造を持つことから、これまで最も安定で有用と考えられてきた13原子の白金粒子(Pt13)は実は最も活性が低く、それより1原子少ない12原子粒子(Pt12)はPt13の2.5倍の活性を持つ。さらに、19原子の白金粒子(Pt19)はPt13の4倍もの活性を示すことが分かったという。
Pt19は活性は、現在広く用いられている粒形3~5nmの白金ナノ粒子担持カーボン触媒の20倍にもなるという。実際に利用するには粒子を保持するカーボン担持への組み込みや最適化といった課題が残されているが、原子数レベルの活性反応が評価できるようになったことから、燃料電池など広範囲な用途に応用できる触媒技術に繋がる可能性を持つ。