武藤工業は7月22日、アーク溶接技術を用いた新コンセプトの金属3Dプリンター「Value Arc MA5000-S」を発表した。7月下旬より販売する。
金属造形が可能な工業用3Dプリンターはすでにあるが、金属粉を用いてレーザーや電子ビームで焼結するしくみのため、専用の素材や付帯設備の高額化など、普及には問題もあった。
大判インクジェットプリンターの製造・販売を手がける武藤工業は東京農工大学と共同で、既存のアーク溶接機と汎用アーク溶接ワイヤーを用いる新コンセプトの3Dプリンターを開発した。汎用の溶接棒材が造形材料としているためランニングコストは専用素材の1/10程度、金属材料が豊富に流通しているためさまざまな素材が利用でき取り扱いも容易。造形速度は100cc/h~500cc/hと比較的高速で、サイズは500mm角の造形が可能といった利点がある。
用途としては、少量多品種生産の製造において、高価かつ削りにくい材料で、概略の形状を造形したのち切削加工で精度を出す製造方法を想定している。金型のリニューアルや補修、エッジ形成といった生産設備部品の製造・修理・試作に向いている。価格は標準的な仕様で3000万円(税別)程度を予定しているという。