UWPブリッジにより
AndroidやiOSのアプリをWindows 10 Mobileに取り込む
また、マイクロソフトは、現在Windows 10用にUWPブリッジと呼ばれる技術を開発している。これは他のプラットフォームで動作しているアプリケーションなどをWindows 10で動作させる技術だ。これには4つのプロジェクトがある。
それぞれの名称は、対象とするWindows以外のプラットフォームの頭文字を取っている。たとえば、AndroidのアプリをWindows 10で動作させるのはプロジェクトアストリア(Astoria)だ。
このUWPブリッジは、成果物としてUWP用のプログラムパッケージであるAPPX形式を出力するが、完全に汎用のUWPアプリケーションではなく、その実行は特定のカテゴリのWindows 10に限定される。
たとえば、プロジェクトアストリアは、Android用アプリのパッケージ形式(PKGファイル)を、そのままAPPX化し、Windows 10 Mobile用の実行環境で実行する。これはWindows 10 Mobileの中にAndroidの実行環境を組み込むようなものだ。
また、プロジェクトセンティネルは、デスクトップ環境用のWin32アプリケーションや.NETアプリケーションをAPPX化するが、これを実行できるのは、Windows 10 Desktopのみのようだ。
このように特定のカテゴリのWindows 10でしか動作しないのにUWPアプリ化するのは、Windows 10では、Windowsストアが唯一のアプリケーションの入手方法であり、従来型のデスクトップアプリ以外は、Windows 10ではWindowsストア以外の手段でアプリをインストールすることはできないからだ。
この2つは、それぞれのアプリを配布状態のまま直接APPX化しするものだが、プロジェクトアイランドウッズは、iOS用アプリケーションのソースコードをVisual Studioで扱えるようにするものである。
さらにプロジェクトウェストミンスターは、既存のウェブサイト上のサービスを直接UWPアプリに変換する。ただし内部的には、HTML5やJavaScriptで書かれたページを実行ファイルに変換してUWPアプリ化している。
このUWPブリッジで作られるアプリと対応のWindows 10カテゴリを示すのが下の図だ。
UWPブリッジは、今夏に詳細情報が発表となっており、実際のリリースはさらに先になると予想される。そもそも7月29日に出荷開始されるWindows 10はWindows 10 Desktopだけ。Windows 10 Mobileの出荷開始は,さらに2~3ヵ月後といわれている。
そう考えるとUWPブリッジの各プロジェクトが使えるようになるのは、今冬以降ということになる。おそらくは、Windows 10の最初のメジャーアップデートなどで対応することになるのだと思われる。
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