カリフォルニア大学バークレー校が発表した論文によると、グラフェンシートを振動板に用いたスピーカーやマイクは可聴域だけでなく超音波の発振や集音に非常に効率的としている。
炭素の二次元シート構造「グラフェン」は分子ひとつの厚みしかないが高強度であることから電子・電気・機械分野でさまざまな応用が研究されている。
スピーカーやマイクの振動板は、軽くて高強度であればあるほど周波数特性が良好とされるが、カリフォルニア大学バークレー校の研究グループではグラフェンを振動板としたスピーカーとマイクを試作、可聴域全域から超音波領域に至るまでフラットな周波数特性を持つ良好な音響機器が作れることを実証した。
とくに超音波スピーカーは、従来の発振器に比べて8%のエネルギーで発振が可能という。また、集音では試作したマイクを近場の公園に持ち出し、コウモリの超音波域の鳴き声を集音できたという。研究グループでは、非可聴音を用いたワイヤレスのデータ伝送、超小形のエコロケーション(コウモリやイルカのような音響による探知)といった用途にグラフェン振動板が利用可能としている。