今、液晶テレビの販売が好調らしい。BCNの調査によると、2015年4月以降、販売台数・金額において3月までの低調ぶりとは明らかに異なる躍進を続けているという。また、JEITA(電子情報技術産業協会)の2015年国内出荷統計では、3、4月に前年同期を超える出荷実績を残している。
2011年に実施された地上波テレビ放送の完全デジタル化以降、薄型テレビ売場はいまいち盛り上がりに欠ける感じだった(2011年前後のあの時期が異常だったのだが)。しかし、今年の夏は違う。いよいよ本格的にテレビの世代交代の時期を迎えそうだ。
本特集では4Kや8Kテレビ、今後登場する新しい規格「HDR」なども含めて、薄型テレビの動作の仕組み、技術的な部分をわかりやすく解説する。自分にとって4Kや8Kテレビが必要なのか、どの時点で買い換えを考えればいいかが判断できるようになるだろう。
そもそも液晶テレビって
どうやって映像を写しているの?
液晶テレビ(というか液晶ディスプレー)は大まかに言うと、液晶パネルとバックライトから構成されている。バックライトの光を液晶パネルが調節することで明暗や色を再現する仕組み。液晶パネル自体は発光するわけではないので、外部の光源が必要になる。
映像が焼き付けられたフィルムをライトで照射してスクリーンに投影する映画館の映写装置と基本的な原理は同じだ。これに対して、すでに製品の発売は終了してしまったプラズマテレビや、今後増えてくる有機ELテレビはパネル自体が発光する自発光型だ。まずはこの違いを覚えておこう。
液晶パネルは、コンピュータのドット絵のように点の集まりで映像を表示する(これについては、デジタル時代のテレビはプラズマも有機ELもすべて同じ。これを固定画素表示とも呼ぶ)。
映像を表示する点を「画素」と呼ぶが、これはRGBの3つに別れている(サブピクセル制御を行なうVA方式はさらに倍に分割されている)。ひとつひとつの画素ごとに光の三原色であるR(赤)・G(緑)・B(青)の光を調整することで明暗や色を再現できる。
こうした画素がフルHDテレビの場合、1920×1080個配置されており、合計すると約200万画素となる。
液晶パネルがどうやってRGBそれぞれの光を調節しているかというと、ひとつひとつの画素(そしてRGBのサブピクセル)には、同じ方向に並んだ液晶分子が浮かんだ層がある。この液晶分子がバックライトの光が透過する量を調節するシャッターとして動作する。この液晶分子の動きを電気的に制御することで、映像の表示が可能になるわけだ。
そして、液晶自体はシャッターとしての働きしかないので、RGBのサブピクセルも実は輝度の表現(明暗の表示)しかできない。
RGBの色として再現するために、それぞれのサブピクセルの前面に、赤、青、緑のカラーフィルターが備わっている。これによって、R10%、G50%、B30%というように光を調整し色として再現しているわけだ。
(次ページに続く、「液晶テレビにはVA方式とIPS方式の2種類がある」
この連載の記事
-
第3回
AV
各社の特徴がまるわかり! 薄型テレビメーカーの最新技術を徹底解説!! -
第2回
AV
4K/8K放送から有機ELにIGZO……次世代テレビの技術を解説! -
AV
4K、8K、HDR……謎の用語が続々出てくる薄型テレビの基礎知識 - この連載の一覧へ