写真の自動分類の威力
iCloudフォトライブラリよりもGoogleフォトに写真をアップロードしたくなる理由は、写真の自動分類です。冒頭の機会学習は、ここでも生かされ、利用することができます。
Googleフォトに写真がアップロードされると、その写真は自動的に分類されます。時系列はもちろんのこと、場所、写っている人、そして写っている物まで解析し、自動的に分類しておいてくれるのです。
たとえば「Kyoto」という分類をタップすれば、京都に行ったときの写真がすべて見られますし、「flower」という分類をタップすると、花の写真だけがライブラリから抽出されて見ることができます。
さらに驚かされるのは子供の写真のデモでした。赤ちゃんは生まれたての顔から、時を追うごとに、少しずつ顔は変わっていきます。Googleフォトでは赤ちゃんからハイハイし始めて、立って歩き始め、幼稚園に通うまでを同じ人物として分類してくれるのです。横顔だろうと泣いてくしゃくしゃな顔になっていようと、キッチリと分類してきます。
自動でつけられるタグの快適さ
タグ付けは、人々が情報を意図的に分類するためのツールでした。1つの写真に複数の分類を与えることができる自由さが面白い手法で個人的に好きですが、タグを決め、その情報や写真にタグを割り当てていく作業がとにかく面倒で、マメな人しか使いこなせないという問題点がありました。もちろん筆者もダメなクチです。
しかしGoogleフォトは、この面倒なタグ付けを、自動的にやっておいてくれるのです。単なる保存やバックアップではなく、使える状態、見つけやすい状態に準備しておいてくれる。たったそれだけですが、自分のフォトライブラリが見違えるように便利になり、Googleフォトに写真をアップロードしておくインセンティブになるのです。
もちろん、解像度の上限が決まっている点や、RAWデータの扱いなどから、他のサービスもしくは手元のHDDへの保存をすべきでしょう。ただ、とにかくスマホで写真を撮っている人にとっては、活用までふくめて、決定的なサービスに仕上がったのではないか、と思います。
さて、写真は非常にたくさんの情報を含んでいます。Googleフォトは、日時や位置情報といった付加されているメタデータ、自前で解析したデータにより、その情報をより多く抽出、活用しようと努めています。
こうした情報によって、我々の生活に何がもたらされようとしているのか。次回に続きます。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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