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熱を溜めておいていつでも好きなときに取り出せる。エネルギー革命になる可能性も

永続的に熱エネルギーを保存できる「蓄熱セラミックス」を新発見

2015年05月13日 17時44分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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分子構造の変化(相転移)によって熱エネルギーを溜めておける

 東京大学などの研究グループは5月13日、熱を永続的に溜めておける「蓄熱セラミックス」という新概念の物質を発見した。

 蓄熱材料は、いわゆる「湯たんぽ」的に温めた材料がゆっくりと冷える効果を利用して長時間の熱を保存する。工場やごみ焼却施設の排熱を温水として他の施設の給湯・暖房などに活用するなど、さまざまな商業利用がなされている。

加熱だけでなく、電気や光のエネルギーでも相転移し、電気/光から熱への変換デバイスとしても利用できる 

 一箇所に集めた熱エネルギーは時間とともに放散してしまい(熱力学第二法則)、熱を熱として保存する際は真空断熱などの方法が一般的に用いられている。今回発見された蓄熱セラミックス「ストライプ型-ラムダ-五酸化三チタン」は、吸熱によって「ベータ-五酸化三チタン」から「ラムダ-五酸化三チタン」に構造が変化し、変化したのちは熱を自然放散しない。圧力を加えるとベータ-五酸化三チタンに戻りつつ熱を放出する。

200度以上でラムダ-五酸化三チタンに変化し、圧力60MPaで急激にベータ-五酸化三チタンへ相転移する 

 これは相転移による熱エネルギーの吸収/放出だが、エネルギー量は230kJ L−1と、水の融解熱の約70%と大きいのが特長。加熱だけでなく、電気的、光刺激でも相転移し、電気や光のエネルギーを蓄積することも可能。

排熱の有効利用のほか、さまざまな利用が考えられる

 自然に吸熱/放熱しない物質を使った熱エネルギー利用といえば、叩くと冷える瞬間冷却剤(過冷却現象を用いる)などが身近なものであるが、熱を放散するタイプの物質は珍しい。研究グループでは、排熱などを溜めて任意の場所・時間で利用できる蓄熱材、または電気や光からの熱エネルギー利用、さらには感圧伝導センサーやメモリーなど電子デバイスなど、さまざまな利用が可能としている

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