近畿大学は1月22日、レーザーを用いてハイドロキシアパタイトの膜を直接歯に堆積させてエナメル質を修復する技術を開発したと発表した。
虫歯治療では、金属の詰め物や被せ物(インレー/クラウン)のほか、レジン(光硬化性の樹脂)を用いる方法が多用されている。近畿大学生物理工学部の研究グループでは、歯の主成分である ハイドロキシアパタイトをシート状にした「歯のばんそうこう」と呼ばれる修復技術を開発してるが、シート状のため大きく欠損した歯には適応できなかった。
現在、虫歯を削るのにEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザーと呼ばれる歯科用レーザーで歯の表面を分解・剥離する治療法も普及が進んでいる。研究チームは歯の表面上でハイドロキシアパタイトにレーザーを照射すれば粒子が飛散して歯の上に付着、膜となると考え、大阪歯科大学およびモリタ製作所と共同で実験を行った結果、約3時間で歯表面にハイドロキシアパタイト膜が形成され、エナメル質の修復に活用できることがわかった。
虫歯の治療や象牙質知覚過敏の治療に使用できるほか、歯質の保護やエナメル質のマイクロクラック(細かなひび割れ・亀裂)の修復、審美歯科などにも応用できる可能性があるとしている。