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モテる秘訣は「ドッグフーディング」 女子に愛され300万ダウンロードのフリマアプリFril開発秘話:大江戸スタートアップアカデミー

2015年01月09日 07時00分更新

大江戸スタートアップ編集部

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2014年12月19日に開催された大江戸スタートアップアカデミー「フリル×BASE×ヤフオク!スマホ個人間取引徹底トーク!」より講演メモを特別公開。第一弾の「ヤフオク!」に続く第二弾は女子に人気のフリマアプリ「Fril」。開発元Fablicの堀井雄太チーフエンジニアに、女子のツボをおさえたアプリを開発する秘訣を聞く。強みの1つであるアプリデザイン(ユーザーインターフェース)は、女性の目線を徹底して吸い上げる姿勢から生まれた。

大江戸スタートアップセミナー 次回は1月30日(金)
「モーフィアス」「オキュラスリフト」VR業界最前線

 ソニーの「モーフィアス」(Morpheus)、フェイスブックが買収した「オキュラスリフト」(Oculus Rift)でIT業界をにぎわすバーチャルリアリティー(VR)デバイス。新たな市場に挑戦するゲーム開発者や専門家をお招きし、VR業界の最前線を伺います。スマホ市場が「VRシフト」するのはいつか?(詳細はこちら

 「Fril」創業期の話をしたい。「女子ウケするフリマアプリの作り方」ということで、Frilは女性をメインターゲットとして300万ダウンロード。Frilはネットで服を売ったり買ったりできるアプリ。嬉しいニュースとしては、グーグルの2014年ベストアプリにも選んでもらった。特にアプリデザインで高い評価を得ている。

 特徴はSNSのようにコミュニケーションをとりながら売り買いできる点。お気に入りブランドを「いいね!」できるようになっている。ユーザーは商品のサムネールをタップして、詳細を見て検討できる。値下げできませんかという交渉をしたり「自分が着た感じの『着画』を見せてくれませんか」といったコミュニケーションが取れる。

 アプリをリリースしたのは2012年7月。現在はうち以外にもフリマアプリはたくさんあるが、なぜ当時フリマアプリを作ったのか。


肥大化していたオークションの隙をついた

 まず2012年時点の市場はオークションがメインだった。だが、オークションサイトには、法人格をとって商品を売っている人、あるいは「セドラー」(注:中古商品を転売して利ざやを稼ぐ「せどり」行為をしている人)という個人でも商品を仕入れて売るような人が多く、一般利用者はまだ少ないと考えていた。

 個人間取引はというと、自分たちが運営しているSNSやブログで取り引きをしている例が多かった。デコログさんというブログで「服売ります」というエントリーを出し、コメント欄で買っていたりとか。あるいはミクシィのコミュニティーで「いらなくなった服があるんですがいりませんか」と売ったり買ったり。分かりやすいのはツイッターのフォロワーに商品を売る例。個人間でもメディアをうまく使って取り引きしていた。

 なぜオークションを使わなかったのか。有料会員にならないといけなかったり、出品までのステップが長かったり、当時はハードルが高かった。ガラケーしか持っていなかった場合、写真をメールに何回も添付して出品する必要があった。よっぽど売りたいというモチベーションがない限り、使えなかったのではないか。


第三次ネットバブルだが失敗はしたくない

 2014年、スマホのオークション・フリマサービス市場は伸びている。

 ネットバブルは7年おきに訪れると言われている。アメブロだったりミクシィのようなものが第二次バブルだが、いまは第三次ネットバブルでスマホバブルの時期。スマホで「簡単にモノを売れる時代」が来ていると思っている。時代の普及とともにスマートフォンの普及があると思うが、アタックできない層にアタックできた。

 僕らが開発するとき大事にしているのはユーザーファースト。アプリを作ろうと思ったときにぶちあたった課題が、創業者が男しかいなかったこと。ターゲット層のことを何も知らなかった。そこで女性の生態をもっと知ろうとニーズを研究しよう、ほとんど死んでいくサービスが多いので検証をしっかりしようと考えた。


「このピンクじゃない」「連打しても壊れないロジックを作れ」

 やったのは、ユーザーインタービュー、ユーザビリティー、ドッグフーディングの3つ。

 まずはユーザーのヒアリング。目的は女性を知ろうというのと、ちゃんと作ったアプリが使われるかのニーズがあるかを検証した。約200人にお願いして、いらなくなった服をどう処分するかを聞いたりして知識をためた。女の子に会ったとき、タモリさんじゃないけど次の女の子を紹介してもらったりして。

 フリルのアイコンを決めるときは、フェイスブックのグループにいる女の子にアンケートをとった。ぼくらが一番かわいいと思っていたものは選ばれなかった。ピンクはピンクだと思っていたが「このピンクじゃない」と言われて、デザイナー泣かせだなと思った。

 次はユーザビリティーテスト。デザイナーがこういうユーザーインターフェースがいいんじゃないかと仮説を立て、プロトタイプを作って女の子に使ってもらった。よかったと思えたのは、例えば女の子だと気づかないボタンの位置が分かったり。また女の子はスマホの画面を連打をする傾向もあるが、連打されるとロジックが壊れやすかったりする点にも気づかされたり。


ユーザーをスタッフにするのは「やってよかった」

 最後はドッグフーディング、自分たちで実際に使ってみる行為。

 ぼくらのメインターゲットは女性なので自分自身がユーザーになることはなかった。どうやって検証していこうかと考えたが、実際にユーザーをコーポレートスタッフとして採用した。これは本当にやってよかった。今でもカジュアルにヒアリングができる。「このデザインどう思う?」と聞いたり、品質が保たれているか、追加機能が既存機能の使いやすさを妨げていないか、といったチェックをやっている。

 開発サイクルの中、ユーザーにヒアリングしたり、ユーザー体験を壊していないかをチェックシートで見たりしている。コミュニティー系サービスを作ろうとしている方は試してみてほしい。


人気ユーザーの出品は10分で売れることも

 最後はアンケートで実際にとっている数字をいくつか紹介する。

 「月に購入するファッションアイテムの数を教えてほしい」と聞くと、アイテムは2点ほど。買ったもので残っているものはどれくらい残っているかというと、昨年買ったものは半分しか残らない。半分しか残っていないものはどうなったかというと、飽きたから着ないというのが非常に多かった。

 男性だとあまり「飽きたから着ない」ということはないかもしれない。やはり男性と女性で違うんだなと分かった。飽きたものをどうしているかと聞いたらフリマアプリで売るというのが35%で、その次が「捨てる」。なぜフリマアプリで売るのかというと「簡単だから」。いかに出品させてもらうかを念頭にアプリを作り込んだ。ユーザーの声を聞いていると、「オークションは難しかったが、フリマアプリは簡単だった」という意見もある。

 売れるのも早く、人気のある出品者は出して10分ほどで売れたりする。「いいね!」が100個くらいつくような商品もある。しかも高く売れる。30枚持っていって数百円だったものの単価が上がる。カジュアルなやりとりをしながら商品を買うというのが特徴で、出す商品がほとんど完売状態の人気出品者も増えはじめている。


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