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業界人の《ことば》から 第93回

過去最高業績の更新、一番の課題はPC──東芝

2014年06月03日 17時00分更新

文● 大河原克行

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今回のことば

「PC事業の構造改革はまだ十分とはいえない。一番の課題である」(東芝の田中久雄社長)

2016年には過去最高の売上高を目指す

 東芝の田中久雄社長は、2014年度経営方針説明会において、過去最高業績の更新に意欲をみせた。

経営方針説明会では、田中社長は開発中の眼鏡型のウェアラブル・ディスプレイを装着してみせた

 「2014年度には過去最高利益を達成させ、2015年度には過去最高純利益を達成する。そして、2016年度には、2007年度の7兆6681億円を超えて、過去最高売上高を目指す」と宣言する。

 2013年度連結業績における営業利益は、前年比47.0%増の2907億円。東芝の久保誠副社長は、「決算に『たられば』という言い方は通用しないが、米NINA(Nuclear Innovation North America LLC)の資産価値見直しによる310億円のマイナスがなければ、1989年度に達成した過去最高となる3159億円の営業利益を抜いていた。その点では、2014年度には営業利益で過去最高を狙う下準備は整っている」と語る。

2014年度には営業利益で過去最高を狙う下準備を整っているという

 驚いたのは、田中社長が発した、2016年度には最高売上高を目指すという言葉だ。

 田中社長は、経営方針説明会の場において、2016年度には売上高7兆5000億円、営業利益4500億円、純利益2000億円を目指すことを発表した。

 だが、その発言からわずか5分たらず、スライドの数でいえば6枚進めたところで、冒頭のように、「2016年度には、2007年度の7兆6681億円を超えて、過去最高売上高を目指す」と、7兆5000億円から、7兆6682億円以上へと、売上高計画の事実上の上方修正を発表してみせたのである。

 わずか数分というこれだけの短時間に、中期経営計画の数値を上方修正した例は、過去にはないだろう。

 だが、田中社長には強い自信があるようだ。

 田中社長は、「これまで公表してきた見通しは、毎年大きく変わるものであり、計画を達成できなかったこともあった。だが、2013年度実績では期初計画を上回り、期中の上方修正値もクリア。打ち出した数値は必達する。今回発表した見通しも必達値として明らかにしたものであり、よほどの環境変化が起こらない限り、この数値は変わらない。来年の経営方針もこの数字をもとに話をする」と語り、「中期経営計画は、必ず達成する目標である。さらなる積み上げを指向したい」と語った。

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