太陽誘電と東洋電機は5月18日、可視光を用いた高速水中通信装置を共同開発したと発表した。開発した装置はNHKと共同で水中試験を進めているほか、NHKではIP伝送技術を用いて水中におけるワイヤレス映像伝送機器の研究開発を行っている。
海や湖などの水中では電波の減衰率が高いため、超長波や音波を用いた低ビットレートの通信しか利用できず、高速データ通信では短い距離でも水中ケーブルを使用せざるを得なかった。太陽誘電と東洋電機では、水中では青色光はさほど減衰しないことに着目、両社の汎用LED高速通信技術と光伝送技術とを組み合わせて高速水中可視光通信装置を共同開発した。
この装置は最大50Mbps(透明度によって変化)の通信速度を持ち、映像や音声、計測データなどをワイヤレスで送信できるため、映像撮影や養殖漁業、海洋計測や海洋土木などさまざま用途での使用が考えられるという。
装置の検証にあたっては、日本放送協会(NHK)とプール用いた水中試験を共同で進めており、NHKではIP伝送技術を開発し、伝送効率の低下や障害物の存在によるエラーを再送して安定的に伝送する技術を確立した。
太陽誘電・東洋電機では今後検証を進め、機器の小型軽量化やさまざまなアプリケーション開発を進め、NHKでは高度な番組作りに応用するとしている。