サムスンの新型スマホ「GALAXY S5」が好調だ。同社によると、「(前機種の)GALAXY S4を上回る勢い」で売れているという。
ギャラクシーS4は発売から6カ月後の昨年10月に世界販売台数4000万台を突破。調査会社の香港カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ社によると、2014年2月の世界販売台数ランキングで、GALAXY S4はiPhone 5s、iPhone 5cに続く3位につけていた。GALAXY S5では、iPhone越えに期待がかかる。
一方で、サムスン電子の2014年第1四半期の営業利益は8.4兆ウォン(約8200億円)という予想。前年同期より4%の減少で、2四半期連続で前年実績を下回る。スマホの価格競争が激化し、利益率が低下したことが原因とみられている。
米IHSの調査によると、GALAXY S5の製造原価はiPhone 5sより高いという。一方で、コモディティー化が進むスマホ市場は値下げ圧力が高まっている。例え高価格でも利用者に選ばれる端末を用意しないと、じり貧になる。そのための手段として考えられるのが、サムスンが準備している第三のOS「Tizen(タイゼン)」搭載スマホだ。
ロイターによると、サムスンは2014年6月までにタイゼン搭載のハイエンド機を販売予定という。Android OSへの依存を減らし、独自のエコシステムを構築する狙いだ。ハードウエアの性能が横並びになる中、ソフトウエアで差別化もできる。アップルのように唯一無二の端末が市場に受け入れられれば、いたずらに価格競争に巻き込まれる可能性も減る。
ただし、タイゼンの評判はいいとは言えない。国内ではNTTドコモがタイゼンOS搭載スマホの発売を二度も延期。タイゼン向けアプリを開発していた関係者は、あくまで噂と前置きしつつも、「サムスンがクローズドなエコシステムを作っており、ドコモと折り合いが付かなかったため」と話す。「結果的に、開発したアプリがまるまるムダになった。同業他社もヒィヒィ言っている状態」(アプリ開発社関係者)。
別の開発者も「サポートしないAPIが多く、ソースコードもアップデートされない。ちっともオープンソースじゃない」と憤る。「個人的には、第三のOSなんてもはや『ない』と思っている」(関係者)。
サムスンの足下で広がる、開発者の「タイゼン離れ」。6月に投入されるタイゼン搭載機がどこまで世界のスマホ市場に受け入れられるのかによって、同社の今後も大きく左右されるかもしれない。