iPad向けの電子雑誌を作りたいDTPユーザーに朗報だ。アドビシステムズが9月19日から、「Adobe Digital Publishing Suite(ADPS) Single Edition」をCreative Cloud(月額5000円〜)のユーザー向けに提供する。利用にあたっての追加料金は不要で、Creative Cloudのユーザーは紙媒体、Web、映像に加えて、電子雑誌も制作できるようになる。
ADPSは、InDesignを利用してiPad向けの電子雑誌アプリを制作するソリューション。紙の雑誌を作るようにInDesignでレイアウトを作成し、専用ソフト「DPS App Builder」でiPadアプリに変換してApp Storeで販売できる。動画や音声の埋め込み、Portrait/Landscapeのレイアウト切り替えにも対応しており、米国では「WIRED Magazine」の事例が有名だ。アドビは2011年秋からADPS Single Editionを提供しているが、Creative Cloudでの提供にあたって変換手順の簡略化、USB接続による実機テスト、高解像度端末への対応などの改善も図っており、より手軽に利用できるようにした。
なお、ADPSにはSingle Editionのほかに「Professional Edition」「Enterprise Edition」があり、Professional/EnterpriseではNewsstandを利用した定期購読にも対応しているが、Single Editionでは単体アプリのみ制作可能。そのため、単発の“ムック”的な電子雑誌や、写真集、カタログなどの制作に向いている。アドビシステムズの西山正一氏は「ProfessionalやEnterpriseは出版社向けのソリューションだが、Single Editionは個人や小規模な企業がターゲット。Creative Cloudに加わることで、電子出版のハードルが大きく下がるはず」と話している。